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2016年版・世界の再生可能エネルギーへの投資動向: 国連環境計画(UNEP)

【要約】再生可能エネルギーへの投資:主要なマイルストーンは、世界新記録を達成
・石炭・ガス火力発電への昨年の投資は、再生可能エネルギーの半分にも満たなかった。<表1>
・再生可能エネルギーは、他のどの発電技術よりも世界のエネルギー発電容量を多く増やした。<表1>
・開発途上国による再生可能エネルギーへの投資(2015年に19%増)は、始めて先進国(8%減)のそれを抜いた。
・昨年再生可能エネルギーへの合計$286億$の投資は世界記録;12年間で$2.3兆に達する。<表2>

<表1,2015年における増加発電量>

発電法   | 再生エネルギー   大規模水力 原子力 石炭 天然ガス
(大規模水力発電除く)
増加発電量|    134           22     15   42   40
(GW:ギガワット)

<表2,再生可能エネルギーへの年度投資額(億$US)>

2004  05  06  07  08  09  10  11  12  13  14  15
————————————————————————————————
47  73  112  154  182  179  239  279  257  234  273  286

[注]2004-2015年間の合計投資額は、インフレ調整なしで、2.3兆$

(このリリースでの再生可能エネルギー関連の全ての数値は、50MW(メガワット)以上の大規模な水力発電プロジェクトを除き、風力、太陽光、バイオマス、廃棄物エネルギー、バイオ燃料、地熱、海洋や小水力発電を含む。)

[出典]」
国連環境計画(UNEP)ニュースセンター報告書 2016年4月
http://www.unep.org/newscentre/Default.aspx?DocumentID=27068&ArticleID=36112&l=en
フランクフルト・スクールー気候・持続可能エネルギーファイナンスのためのUNEP共同センター、およびブルームバーグ新エネルギーファイナンス(BNEF)作成
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【解説】
重要なことは、発展途上国の再生可能エネルギーへの投資が、2015年に初めて先進国のそれを突破したことだ。とくに太陽光発電でMWh(メガワット時当たり)のコストを大幅に下げたことにより、大規模水力発電を除いた全技術分野の再生エネが、昨年54%もGW容量を増加したことだ。これは、新しく導入された再生可能エネルギーが、すべての従来技術に容量を増加させ始めて最大レベルに達しめたことになる。

再生可能エネルギーの134GW増は、2014年の106GW、2013年の87GWに比べて、2015年に世界的に追加された。

昨年持続可能な開発目標を採用することにより、世界は貧困を終わらせ、持続可能な開発を促進し、健康的な生活を確かなものとし、すべてのための手頃な価格の、持続可能な、クリーンエネルギーへのアクセスを約束した。

報告書は、2015年の再生可能エネルギー市場が、2014年の94GWという太陽光発電や風力による記録を超えた118GW増に達したことを示す。内訳は風力が62GW、太陽光発電が56GW増となった。
一方で、バイオマスや廃棄物パワー、地熱、太陽熱や小水力発電はもっと控えめな量となった。

2015年には、太陽光発電や風力プロジェクトへの補助としての蓄電器および小規模な太陽光発電システムが注目されるようになった。エネルギー貯蔵はグリッドにバランスの高速応答を提供する一つの方法であるので非常に重要で、風力や太陽光からの需要のスパイクあるいは可変再生可能エネルギー発電としての意義がある。
昨年、実用規模の電力貯蔵のおよそ250MW(揚水発電と鉛蓄電池を除く)は、2014年の160MWから、世界的規模での設置レベルとなった。

<開発途上国の投資増は中国とインドが主>
2015年、開発途上国の再生可能エネルギーへの投資は2014年に比し156億$/+19%増加したが、これは先進国の130億$/-8% を初めて凌いだことになる。この歴史的成果は主に中国によるもので、103億$/+17%増または世界の36%を占めた。

他の途上国で目立ったのは、インドの10億$/+22%、南アフリカの4.5億$/+329%、メキシコの4億$/+105%、チリの3.4億$/+151% などである。1億$以上投資したのはモロッコ、トルコ、ウルグアイなどがある。

先進国の中では、欧州の投資が21%も減少している。2014年62億$であったのが、2015年では48.8億$になっている。洋上風力発電プロジェクトでの記録的投資をしたにもかかわらず、9年間の大陸での投資額としては最も低い数字となった。
その他、米国は19%増加して44.1億$投資となり、日本は前年とほぼ同じく36.2億$の投資であった。

先進国経済から離れて発展途上国に向けた投資のシフトとは、いくつかの要因に起因する。新興国における急速な電力需要、その需要に合うように再生可能エネルギーのコスト低下、先進国の緩慢な経済成長、そしてヨーロッパによる補助金のサポート削減などから、中国は風力や太陽光に集中した。

<図1,各国の再生可能エネルギーへの投資状況>
Fig1.世界の再エネへの投資(UNEP)

< しかし道はまだ遠い >
再生可能エネルギーによって追加された発電容量は、2015年に従来のソースから追加された新しい容量を超えており、それは構造変化が進行中であることを示している。

大規模水力を除く再生可能エネルギーは、まだ世界の総設備電力容量に占める割合は低い(約1/6、または16.2%)ものでしかないが、その数字は上昇し続けている(2014年の15.2%から)。
一方、これらの再生可能エネルギーによりつくられる実際の電力は、2015年には世界の総発電量の10.3%であった。(2014年の9.1%から)

「パリのCOP21からの野心的な信号や新しく導入された再生可能エネルギーの成長能力にもかかわらず、まだ長い道のりがある」と Prof. Dr. Udo Steffens, President of
the Frankfurt School of Finance & Management は言う。「石炭火力発電所および他の従来の発電所は、長い寿命を持っている。さらなる政策介入がなければ、気候変動起こすCO2排出は少なくとも十年増加する。」

「石炭、石油およびガス価格の最近の大きな下落は、従来の発電にはより味方するものだ、しかし、昨年のG7サミットからの宣言に呼応してなされた、12月のパリの気候変動サミットですべての国によって行われた協定達成には、非常に低いあるいはゼロの電力システムを必要とする。」