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「パリ気候変動協定の目標を達成する鍵は都市にある」と最新のIEA報告書が示唆

出典:IEA Press Releases, 1 June 2016

http://www.iea.org/newsroomandevents/pressreleases/2016/june/etp2016-cities-are
-in-the-frontline-for-cutting-carbon-emissions.html
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 『エネルギー技術展望2016年』は、都市の建物や輸送が排出するCO2を除去することは、パリ気候変動協定の目標に到達するための鍵であることを示しているが、遅々として進まないのは政府のコミットメントをテストしていることになる。
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 都市部が、費用対効果の高いグローバルなCO2排出量を3分の2まで削減する可能性を有していると強調した上で、都市は低CO2エネルギーセクターへの移行について先導的役割を果たす必要があると、国際エネルギー機関(IEA)が今日言及した。

 年次報告書『エネルギー技術展望2016』*(ETP2016)において、IEAは2015年12月パリの気候変動会議(COP21)で設定した目標に沿って、地球の気温上昇が2℃を超えないように制限する可能性がある長期的な技術経路を提供している。最も費用対効果の高いアプローチは、特に新興国や発展途上国における都市での低CO2オプションを展開することであるとする。

 「今日の都市は世界人口の約半分の人々にとってホームであるが、ほぼ世界的なエネルギー需要の3分の2とエネルギー部門からのCO2排出量の70%を担うので、COP21の約束を達成しようとする場合、彼らは主導的な役割を果たさなければならない」とIEAエグゼクティブディレクター Fatih Birol が、サンフランシスコのクリーンエネルギー閣僚会議でのレポート発表で語った。**
そして「都市は経済成長と革新の中心であるから、かれらは新しい技術のための理想的な
試験台 – より持続可能な交通システムからスマートグリッドへの – であって、
低CO2エネルギーセクターへの移行を先導する助けとなる。」

 そして、グローバルな利害関係者を連携させるにはアクションが必要である。2050年までの世界的な最終エネルギー需要の伸びの、少なくとも3分の2が新興国や発展途上国の都市から由来すると期待される。今から2050年の間に、新しい建物の大部分 – 世界の現在の建物ストックの40%に相当 – が新興国や発展途上国の都市に建設され、そしてグローバル都市旅客の増加の85%を占めるようになる。現在の政策の変更を行わないと、エネルギーサービスのためにその需要の増加は、これらの都市のエネルギー関連のCO2排出量を倍増する。しかし、これらの新興国における都市部の多くは、まだ完全に構築されていない。
 市民に同じレベルの快適さを有する近代的なエネルギーサービスへのアクセスを供しながら、いかに先進国の多くの都市の典型的なCO2集約型のインフラを回避するか、ETP2016はその方法を示している。従って国際協力は、世界中の都市がそれぞれの経験を引き立てることができることを確実にするために重要であり続ける。

 例えば、都市部の建物は彼らが消費する電力を自家発電する便利なスペースを提供する:2050年までに、屋上の太陽光発電設備は、技術的に都市の電力需要の3分の1を満たすことができる。そして、それらの建物はエネルギー効率の高い窓や家電製品などの最も効率的な技術を引き出す重要な需要の可能性を秘めている。ETP2016はまた、都市における現在の開発動向と比較して20兆米ドル投資ニーズを削減しながら、最高の電気自動車や公共交通機関が低CO2交通システムに至ることができる方法を詳しく説明する。

 ETP2016はCOP21の目標が達成可能であることを示しているが、そのクリーンエネルギーの進捗状況分析によると、全世界のクリーンエネルギー技術を導入する進歩が、まだ困ったことに必要とされる程度に到底達していないことが明らかになった。
 IEAの分析は、いくつかの技術に前向きな動きがなされていることが明らかになった:総再生可能エネルギーの現在導入されている容量は、太陽光発電と陸上での風力発電進歩に支えられ、過去最高の再生可能エネルギー容量の成長を遂げて2015年に150ギガワットを超え、世界的な発電の約23%を提供するに至っている。これは、2050年における再生可能エネルギーによる発電の3分の2を超えるという2℃目標に沿った心強い傾向となる。
 中国は最大の再生可能エネルギー市場であり、2015年の世界の新しい陸上風力発電量と太陽光発電容量の3分の1を占めている。 
 米国は、この一年間の容量の追加で40%の成長率を維持し、再生可能エネルギーのために世界第2位の市場としての地位を維持した。
 ETP2016は、中国と米国の寄与計が2℃の目標を満たすために目標に沿っていることが必要とされる故、2050年までの再生可能エネルギー容量の追加の3分の1が要求されると記している。

 並行して、たとえ2015年現在の世界の道路上の電気自動車が100万台を超えても、これでも相当画期的なことだが、2℃ゴールを達成するために2050年までに10億台を超える電気自動車を使いこなすという野心的な目的に比べると小さい。
 中国と米国は総売上高では市場のリーダーであったし、ノルウェーは販売されるほぼ4台に1台が電気自動車という点でマーケットシェアを世界的にリードしていた。だが、電気自動車の世界シェアは未だ小さくて、1%以上のマーケットシェアを有するのはわずか7カ国でしかない。

 レポートの調査結果を要約すると、Birol 博士は、「COP21は、気候変動に対するラジカルアクションの歴史的な転換点を示しており、かついくつかのクリーンエネルギー技術の最近の進歩は勇気づけられる成果である。しかし、全体的な進展はまだ遅すぎるし、低CO2移行の障害となっている低価格化石燃料を避けるべく加速しなければならない。今日のエネルギー市場の状況は、政府がなしたパリでの約束を、低CO2未来への確固たるアクションにどれだけ努力しなければならないかを示すリトマス試験となる。」と結論付けた。

* 『エネルギー技術展望2016』Energy Technology Perspectives 2016 報告書はIEA書店で販売している。
** 発表のスライドは下記サイトで閲覧しダウンロードもできる。(記事中の数字データに関連する図が掲載されている。)
http://www.iea.org/newsroomandevents/speeches/160601_ETP2016_CEM7.pdf