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石炭とガスによる電力は依然安いが、持続可能エネルギーによる電力がコスト競争力で優る

– Bloomberg New Energy Finance(BNEF):
Bloomberg press release Jun 12, 2016

Coal and gas to stay cheap, but renewables still win race on costs

 今年のBNEF報告書によると、世界の今後25年にわたる発電容量への投資は、電気自動車による爆発的な2040年における電気需要8%押し上げもあって、11.4兆ドルと予測している。
London and New York, 13 June 2016 –
 石炭とガスの低価格が継続する可能性はあるが、蓄電池などの安定オプションを有した風力や太陽光などの持続可能エネルギー源に向かうという、今後数十年間にわたり世界の電力システムの根本的な転換を抑制することはできないであろう。

 BNEFからの最新長期予測『新エネルギー展望(NEO)2016』
http://about.bnef.com/newenergyoutlook によると、世界の石炭、ガス、石油価格が前年に比べて大幅に低い傾向を示している。しかし重要なことは、風力や太陽光のコストもまた急激な低下を示していることだ。

 予測は、2016ー40年の期間にわたるCO2排出量についての複合したニュースを有している。すなわち中国の弱いGDP成長と経済のリバランスは、排出量が早ければ2025年にピークになることを意味するであろう。しかし、インドや他のアジア新興市場で盛んになりつつある石炭火力発電は、2040年における世界の排出量は依然として2015年水準の5%に相当する約700メガトンとなることを示している。

Seb Henbest,ヨーロッパ・中東・アフリカBNEF所長・New Energy Outlook(NEO) 2016 執筆リーダ談:「$7.8兆程度が、2016年と2040年の間に世界で持続可能エネルギーに投資され、その三分の二が全て発電容量への投資となる。しかしそれは国連が掲げる2℃気候目標と互換性のある経路に世界の排出量をもたらすには、何兆$もの投資を必要とすることを意味する。」

NEO 2016 から特記される事柄は次の10項目となる。

1,石炭とガスの価格は低く留まる
 BNEFは石炭とガス両方の商品に対する意図的供給過剰を反映して、それぞれ33%と30%価格の長期的な見通しを低く予測した。これは、石炭やガスを燃焼させて動力を発生するコストを削減することになる。

2,風力と太陽光コストは急激に下がる
 陸上風力によるメガワット時当たりの発電の平準化コストは2040年までに41%低下し、
太陽光発電は60%低下する。この2つの技術は、2020年代の間多くの国で、および2030年代の世界のほとんどの国で、電気を生産する最も安価な方法を供することになる。

3,化石燃料による発電には2.1兆$の投資が見込める
 石炭やガス発電への投資は、主に新興国では継続される。$1.2兆ほどは新しい石炭燃焼方式に向かい、新たなガス火力発電所へは$8920億となる。

4,しかし持続可能エネルギーはいいとこ取りとなる
 $7.8兆ほどはグリーンパワーに投資され、そこでは陸上と洋上風力に$3.1兆、実用規模の屋上および小規模のほかの太陽光に$3.4兆、そして水力発電に$9110億が当てられる。

5,2℃シナリオには相当な費用負担が求められる
 グリーンパワー投資の7.8兆ドルの上に、IPCCの言う2040年までに気温上昇を防ぐ限界値
450ppmを達成するべく、世界は大気中のCO2をゼロにするのに5.3兆$もの投資を更に行わねばならない。

6,電気自動車ブームは電気需要増を呼ぶ
 電気自動車は、2040年における世界の電気需要の8%に相当する2,701兆ワット時(TWh)増加させる。BNEFの予測を反映して、41百万車、あるいは2015年時点の90倍の車台数に相当する、その年の世界の新しい軽量自動車販売の35%を占めることを表す。

7,小規模の蓄電池市場は2500億$に
 電気自動車の増加は、住宅用および商業用太陽光発電システムと共に併用されるリチウムイオン電池のコストを引き下げる。我々は、エネルギー貯蔵の背後にある電力を総計すると、今日の約400メガワット時から2040年で約760ギガワット時に、劇的に上昇すると予想している。

8,中国の石炭火力発電は、これまでの見通しより弱含みの傾向となろう
 中国経済の変化および持続可能エネルギーへの指向は、石炭火力発電は10年で、昨年のNEO版においてBNEFが予測した発電量の21%以下に相当する1,000兆ワット時になることを意味する。

9,世界のCO2排出量傾向はインドが焦点となる
 電力需要は、2016年から2040年の間に3.8倍になると予想されている。次の24年間で
持続可能エネルギーに$6110億を投資し、原子力に$1150億投資しても、需要の増加を満たすには石炭発電所に大きく依存していくことになる。これは、2040年まで年間電力部門の
排出量の3倍になることを予想させる。

10,ヨーロッパでは持続可能エネルギーが支配的になるが、米国では持続可能エネルギーがガスを凌ぐ
 風力、太陽光、水力そして他の持続可能エネルギー設備は、ヨーロッパでは2015年の32%から2040年には70%の電力を生み出す。米国ではガスのシェアが2015年の33%から、2040年には31%と低減するのに対し、持続可能エネルギーのシェアは14%から44%に増加する。

 なお発表に当たり、責任者から次のコメントがあった。
・Jon Moore(BNEF CE)は2015年版のより、石炭とガス価格を著しく低い推移としているが、一方では次の25年間に、クリーンな電力に向けた迅速な推移を依然示していることは衝撃的である。」
・Elena Giannakopoulou(NEO 2016プロジェクト:エネルギー経済主任)
 「驚かせるかもしれない一つの結論は、私達の予測は、北米を除いて、ガスの黄金時代を示さないことだ。グローバルな電力発生源としては、ガスは2027年に持続可能エネルギーに追い越され、2037年には石炭が持続可能エネルギーに取って代わられる。」

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[図]2016-40年間の主たる発電技術による電力量推移:単位は千TWh
情報元: Bloomberg New Energy Finance NEO 2016
* 図は本稿トップに記載したレリースサイトに掲載されている。
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