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2016年におけるドイツのエネルギー・電力状況

出典:Agora Energiewend ホームページ > Topics > 06.01.2017
https://www.agora-energiewende.de/en/press/agoranews/news-detail/news/
coal-power-is-on-the-decline-yet-emissions-have-increased-2016
-was-a-year-of-mixed-success/News/detail/

シンクタンク・アゴラ社による評価は、
”石炭による電力は減少したが、ガス排出量は増加した – 2016年は半ば成功の年だった”と厳しい。すなわち、アゴラ・エネルギーヴェンデの年次評価では、”ドイツのグリーンエネルギーへの転換には数多くの肯定的な傾向があったにもかかわらず、変化のスピードは2020年の気候と効率の目標を達成するのに十分速いとは言えない”とある。

2016年次評価の重要な知見として挙げられたことを次に記す。
・ドイツのグリーンエネルギーへの転換は、2016年の進展と後退の両方によって特徴付けられた。一方で、電力システムは3年目になると、気候に更に友好的になった。
・天然ガス発電所は、石炭火力発電所から市場シェアを獲得した。
・原子力発電の段階的廃止は計画どおり継続した。
・持続可能エネルギーシステムはこれまで以上に多くの電力を供給した。
・電気使用量が減少した。
・ドイツ人のエネルギー転換への支持は、すでに高い水準から更に増加した。
・2016年末までに、ドイツの温室効果ガス総排出量が再び上昇したことが明らかになった。それにより2017年の国内電気価格は、初めて30セント/kWhを上回るだろう。
・エネルギー転換の進展が余りにも遅くて、2020年の気候と効率目標については相当な努力がなければ達成できない。

【 各論 】  <  図1~3は最下段 Ref.2から引用  >
1,持続可能エネルギーの拡大
この評価では、ドイツでは電力消費3kWh毎のうちの1kWhが持続可能エネルギー(正確には32.3%)で、それは0.8%昨年よりグリーンエネルギーの割合を上げていることが分かった。しかし、風力タービン生産能力の大幅増(5GW(ギガ・ワット))と太陽光発電設備増(1GW)があったにもかかわらず、天候のせいで2016年の風力量と太陽光量が平均量よりも少なかったために、前年比で4TW(テラ・ワット)の追加のグリーンエネルギーが生産された。
[注]「エネルギー転換を前進させるための教訓として」とアゴラ・エネルギーヴェンデのディレクターP.Graichenは次のように述べている。「持続可能エネルギーの拡大を定期的に発生する風況が悪い年に合わせることが、エネルギーシステムにおける気候保護へと繋ぐ唯一の方法なのだ。」

[ 図1,2016年の電源別シェア図]

[ 図2,1日で持続可能エネルギーが最大または最小に使われた例 ]

2,化石燃料火力発電の変化
天然ガス火力発電所は前年よりおよそ25%多い電力を発電した。これはドイツのエネルギー・ミックスの12.1%を占め、原子力発電所からの電力(13.1%)とほぼ同じくらい高い。
ガス火力発電所からと持続可能エネルギーからの電力が増加したので、褐炭により発電された電力のシェアは23.1%(-0.8%ポイント)に、そして無煙炭火力発電所で発電された電力のシェアは17%(-1.2%ポイント)に下がった。このことは、2014年に始った石炭火力発電の減少を続けることとなった。
[注]「もし2016年の石炭火力発電の減少が続く場合、最後の石炭発電所は2038年の初めに閉鎖される」とGraichen氏は観る。「このスケジュールは、アゴラ・エネルギーヴェンデが提案した石炭コンセンサス経路に対応している。ドイツが気候保全、構造転換、供給の安全に関する一般的な合意に達するならば、ドイツ連邦準備理事会(Bundestag)の選挙後すぐに、議論が始まらなければならない。」

3,気候変動への対応
石炭の使用量の減少は、ドイツの電力システムによって残された気候変動に反映されている。2016年の電力部門のCO2排出量は3億600万トンで、2015年比で1.6%減少した。対照的に、ドイツの温室効果ガス総排出量は、9億800万トンから0.9%増加して9億1600万トンになった。
真相はというと:電力部門のCO2排出量は3年連続で減少したが、気候保護の結果は産業部門、暖房部門、輸送部門のどこにも見られなかったことになる。
[注]「エネルギーの転換は電力分野だけではない。」とGraichen氏は言う。「産業、暖房、輸送分野は環境保全にも貢献しなければならない」

4,省エネルギーへの取り組み
2016年には電気使用量がわずかに減少して、合計592.7TWhとなり、前年度の2.4TWh減となった。1.8%の経済成長にもかかわらず、この成果を達成したことは特筆されることである。しかし、連邦政府が設定した2020年の効率目標を達成するには、2017年から毎年9TWhを節約する必要がある。
[注]Graichen氏は次のように述べている。「ドイツは電気で益々効率が高まっている。経済成長しても、電力使用は減少した。 しかし、もっと多くのことが行われなければならない。節約された各1kWhは、エネルギー転換をより受け入れ易くする。」

5,エネルギー転換への国民支持
ドイツ国民は、2016年にはさらに高い支持率で、グリーンエネルギーへの転換を目指している。年次調査では、93%のドイツ人市民がエネルギー転換が「重要」または「非常に重要」であると答えた。2015年以降3%上昇し、5年ぶりに最高水準となった。ドイツ国民はその執行についてもより良い見解を持っている。調査の回答者の47%がそれを「良い」または「非常に良い」と評価し、合計で前回より3%上昇した。

6,エネルギーコスト安
年次評価では、2016年が安いエネルギーの年であったことも分かった。 石炭、石油、天然ガスの価格は26.60ユーロ/MWhで、10年ぶりの低水準となった電気の卸売り市場価格と同様に、世界市場で下落した。同時に、ドイツ・デンマークの太陽光エネルギーオークションでは、手頃な価格の太陽光発電が可能となる価格5.38セント/kWh を引き出すことが示された。これは欧州でこれまでに支払われた最低価格である。

7,家計の電気料金問題
電力のスポット市場における天然ガスと暖房油の価格が下落した場合、環境賦課と課徴金は家計の電力コストを上昇させ、2017年には初めて30セント/キロワット時を超えることになる。「現行の徴収制度や課徴金制度が残っていると、電気料金は2023年以前に再び上昇すると考えられている。」とGraichen氏は言う。「その後、社会はエネルギー転換の収穫の恩恵を享受する。」
[注]「だから、」と彼は続ける。「ドイツのエネルギー政策は、エネルギータクシー、課徴金、賦課金などの制度を完全に改革すべきだ。 例えば、電気料金を下げ、課徴金や賦課金を石炭、暖房油、ディーゼル、ガソリン、天然ガスなどの気候に害を及ぼすエネルギー源に移すという選択肢がある。」

[ 図3,平均的家庭の電力料金推移(4人家族で年3500kWh使う例)]

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50ページの『アゴラ・エネルギーヴェンデレポート』は、公開されている多数のデータセットの分析に基づいている。報告書(ドイツ語)は以下の通りで、英語の要約を含んでいる。

Ref.1) pdf, ca. 1 MB
Die Energiewende im Stromsektor: Stand der Dinge 2016
English summary on page 6
https://www.agora-energiewende.de/fileadmin/Projekte/2017/
Jahresauswertung_2016/Agora_Jahresauswertung-2016_WEB.pdf
Ref.2) pdf, ca. 2 MB
The energy transition in the power sector: State of affairs 2016
A review of the major developments in Germany and an outlook for 2017
https://www.agora-energiewende.de/fileadmin/Projekte/2017/
Jahresauswertung_2016/Die_Energiewende_im_Stromsektor_2016_EN.pdf