月別アーカイブ: 2017年4月

2030年までに世界の太陽光発電量を最大10テラワットにする道筋

[出典:主として下記要約資料* を基にして、詳細論文*2 の一部を参照することで、当管理人がまとめた。]
* 「専門家達が2030年までに太陽光から最大10テラワットの電力を生成するための道筋を概説」
NREL(National Renewable Energy Laboratory) News Releases April 18, 2017
http://www.nrel.gov/news/press/2017/41796
*2 「テラワット規模の太陽光電力:道筋と挑戦」
Science 14 Apr 2017:Vol. 356, Issue 6334, pp. 141-143
http://science.sciencemag.org/content/356/6334/141.full?ijkey=q3.xaF3x8rF5M&
keytype=ref&siteid=sci

太陽エネルギーの年間潜在的可能性は世界のエネルギー消費量をはるかに上回るが、世界の電力需要のかなりの部分を提供するために太陽を使用するという目標を実現するのには程遠い。

米国エネルギー省国立再生可能エネルギー研究所(NREL)*3 の科学者達および日独の類似研究機関の研究者と大学と産業界の研究者ら*5は、最近の太陽光発電(PV)の道筋を評価し、世界の太陽光発電力の相当量の可能性を概観して、新しい科学論文「テラワット規模の太陽光電力:道筋と挑戦」*2 にまとめた。

2016年3月にドイツで開催された、太陽エネルギー研究所(GA-SERI*5)でのグローバルアライアンスの集まりで、57名の専門家が会合を開き、次の数十年間に向けて太陽光発電を大幅に拡大するために必要な政策イニシアチブと技術の進歩について議論した。

「会合では、世界の太陽光発電産業は今後数十年にわたってマルチ・テラワット(TW)規模に到達する明確な道筋にあるという共通認識があった。」と、主筆者NRELマテリアル・サイエンス・センターディレクターであるナンシー・ヘーゲル(Nancy Haegel)が言った。「しかし、世界のエネルギー経済におけるPV技術の可能性を最大限に引き出すには、科学技術の継続的な進歩が必要だ。この目標を実現するための課題を解決するために、グローバルな研究共同体を結集することは、その方向性の重要なステップとなる。」

太陽光発電は、2015年に全世界で生産される総電力の約1%を生産したが、新規設置の約20%を占める程となった。

[図1,世界の総発電容量と太陽光発電総容量の推移]

国際ソーラー・アライアンスは、現在設置されている71GWから、2030年にかけて少なくとも3テラワット(TW)(=3,000ギガワット(GW))の追加太陽光発電容量を目標としている。しかし最も楽観的な予測であっても、過去10年間のPVの実際の展開を過小評価しており、GA-SERI論文では2030年までに5~10TWの太陽電池容量を設置する現実的な道筋について論じている。

[表1,2030年までに到達すべきTW規模にするための案出条件]


[注:CAGR は compound annual growth rate の略]

その数字に到達するには、太陽光発電システムの先行コストを賄う誘導的プログラムの継続と同様、継続的な技術の向上とコストの削減を行う必要がある、とヘーゲルとの共著者であるNRELのDavid Feldman,Robert Margolis, William Tumas, Gregory Wilson, Michael Woodhouse,and Sarah Kurtz は同科学誌*2 に記している。

[図2,PVモジュール価格の経験則]

GA-SERIの専門家は、次の課題を克服することができれば、2030年までに5〜10テラワットの太陽光発電能力が実現すると予測している。
・PVのコストを引き続き削減しながら、ソーラーモジュールの性能を改善する
・製造設備と設備容量の拡張に要するコストと時間の削減
・増加した負荷シフト、エネルギー貯蔵、または伝送による、高レベルのPVに対応できる、より柔軟なグリッドへの移行
・輸送、暖房または冷房に多くを使用することによる電力需要の増加
・太陽光発電によるエネルギー貯蔵の継続的な進歩。
——————————
*3 NREL is the U.S. Department of Energy’s primary national laboratory for renewable energy and energy efficiency research and development. NREL is operated for the Energy Department by The Alliance for Sustainable Energy, LLC.

*4 The Fraunhofer Institute for Solar Energy (Germany), the National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (Japan), and the National Renewable Energy Laboratory (United States) are the member institutes of GA-SERI, which was founded in 2012.

*5 the Global Alliance of Solar Energy Research Institutes (略して GA-SERI )