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REN21「自然エネルギー世界白書2018」公表:電力部門の変革は加速している − しかし、熱利用と交通でも早急な対策が求められている

                           2018年6月4日
[出典]ISEP 環境エネルギー政策研究所
REN21, Renewables Global Status Report, “自然エネルギー世界白書 2018”
https://www.isep.or.jp/archives/library/11103

[管理者注]原文をさらにまとめて、簡略化した。とくに図は載せていない。

1, 178GWの自然エネルギーが2017年に全世界で導入された。
 REN21の”自然エネルギー世界白書(GSR)2018″によれば、自然エネルギー発電設備は2017年に世界の発電容量の正味増加分の70%を占め、近年で最大の増加となった。
 自然エネルギー発電設備の導入量順位は、水力、風力、太陽光の順で、この3種で9割以上を占める。中でも太陽光の伸びは格段であった*。

* 太陽光発電の新設容量は記録的な規模となった :2017年に新設された太陽光発電の設備容量は前(2016)年と比べて29%増の 98GWだった。これは、石炭火力発電、天然ガス発電、原子力発電の正味拡大分の合計よりも多かった。風力発電も自然エネルギー発電の 拡大に貢献し、世界全体で52GWが新設された。

 しかし、合わせて世界の最終エネルギー需要の5分の4を占める熱利用と交通部門での自然エネルギー利用は、電力部門に比べて大きく遅れをとったままである。

2, 新設自然エネルギー発電への投資は、火力発電への巨額の補助金が現在もあるにもかかわらず、火力発電所と原子力発電所の正味追加分への投資額の2倍以上となった。2017年には発電部門への投資の3分の2以上が 自然エネルギーへと向けられた。その理由は、自然エネルギー発電の コスト競争力が高まっていることに加え、今後も電力分野での自然 エネルギー割合は増加の一途をたどると考えられているからである。

 自然エネルギーへの投資は特定の地域に集中している:2017年の世界の自然エネルギー投資の約75%が中国と欧州、米国に向けられた。

 しかしながら、GDPあたりの投資額で見ると、マーシャル諸島、ルワンダ、ソロモン諸島、ギニアビサウ、その他多くの発展途上国において、先進国や新興経済国と同等かそれ以上の投資が行われている。

3,もし世界がパリ協定に基づく目標を達成しようとするならば、熱利用部門と交通部門は電力部門と同じ道筋を、速く辿る必要がある。ところが熱利用と交通部門では以下の状況が見られる:

 太陽光発電の設備容量は前(2016)年と比べて29%増の 98GWだった。これは、石炭火力発電、天然ガス発電、原子力発電の正味拡大分の合計よりも多かった。風力発電も自然エネルギー発電の拡大に貢献し、世界全体で52GWが新設された。

3-1, 熱利用部門では自然エネルギーの導入はほとんど進まなかった:現代的な自然エネルギー*2は2015年に世界全体の熱生産量合計の約10%を供給したにすぎない *3。電力部門の自然エネルギー目標は146カ国が設定している一方で、熱利用部門の自然エネルギー利用の国家目標は全世界で48カ国にしかない。

*2「現代的な自然エネルギー」とは、非効率で空気汚染を引き起こす伝統的バイオマス燃焼を除く、現代的な燃焼技術や排気処理による自然エネルギー利用を指す。
*3 4項参照。

3-2,交通部門では、依然として化石燃料が圧倒的に優勢ではあるものの、電動化が進むことで自然エネルギー導入の機会となりうる:毎年3,000万台以上の電動二輪車や電動三輪自動車が世界の道路輸送で増加 しており、120万台の電気自動車が2017年に販売され、2016年と比べて約58%増加した。電力は交通部門のエネルギー需要の1.3%を供給し、その4分の1が自然エネルギーによるものであった。さらにバイオ燃料は2.9%を供給した。しかしながら、全体として見ると、交通部門のエネルギー需要の92%は石油により賄われており、交通部門での自然エネルギーの利用目標を定めているのは42カ国にすぎない。

4,最終エネルギー消費における自然エネルギー割合(部門別 2015年)

 伝統的バイオマスを除いたケースでは、自然エネルギーの占める割合はさらに低下する。1割程度となろう。

 これらの部門を転換していくためには、正しい政策枠組みを実現することが必要であり、遅れている部門での自然エネルギー技術のイノベーションと発展を刺激する必要がある。
 アルソロス・ゼルボスREN21議長はこう付け加える:「エネルギー転換を実現するためには、政府による政治的リーダーシップが必要となる。化石燃料と原子力への補助金をやめること、必要なインフラへの投資を行うこと、熱利用と交通部門への意欲的な目標と政策を確立することがその例である。こうしたリーダーシップがなければ、世界が気候変動と持続可能な発展に向けた誓約を 達成することは難しくなるだろう。

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[補足]
 REN21「自然エネルギー世界白書」について
 REN21の自然エネルギー世界白書2018は、2017年末までの発展と傾向、可能な情報については2018年初頭までの傾向をまとめている。

 自然エネルギー世界白書は2005年に初めて公表され、世界の自然エネルギー
市場や産業、投資、政策動向についての状況と直近の進展、傾向をまとめた包括的かつ時宜に適した年次報告書である。分析や予測は意図的に排除されている。データは世界中の900名の貢献者、研究者、著者のネットワークから提供されている。  www.ren21.net/gsr-2018

  REN21について
“Renewable Energy Policy Network for the 21st Century”
(本部:フランス パリ)は、2004年に設立され、国際的な自然エネルギー政策に関する多様なステーホルダーをつなぐネットワーク組織。
     www.ren21.net/

  その他の参考資料
 REN21「自然エネルギー世界白書」関連の資料は、ISEPの「自然エネルギー
世界白書」特集ページからもダウンロードできる。「自然エネルギー 世界白書2016年版」までのレポート(日本語、英語)、「自然エネルギー 世界白書2017年版サマリー」(日本語)もこちらの特集ページに掲載して いる。↓

   ISEP特集「自然エネルギー世界白書」- www.isep.or.jp/gsr/

                               以上