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REN21「自然エネルギー世界白書2018」公表:電力部門の変革は加速している − しかし、熱利用と交通でも早急な対策が求められている

                           2018年6月4日
[出典]ISEP 環境エネルギー政策研究所
REN21, Renewables Global Status Report, “自然エネルギー世界白書 2018”
https://www.isep.or.jp/archives/library/11103

[管理者注]原文をさらにまとめて、簡略化した。とくに図は載せていない。

1, 178GWの自然エネルギーが2017年に全世界で導入された。
 REN21の”自然エネルギー世界白書(GSR)2018″によれば、自然エネルギー発電設備は2017年に世界の発電容量の正味増加分の70%を占め、近年で最大の増加となった。
 自然エネルギー発電設備の導入量順位は、水力、風力、太陽光の順で、この3種で9割以上を占める。中でも太陽光の伸びは格段であった*。

* 太陽光発電の新設容量は記録的な規模となった :2017年に新設された太陽光発電の設備容量は前(2016)年と比べて29%増の 98GWだった。これは、石炭火力発電、天然ガス発電、原子力発電の正味拡大分の合計よりも多かった。風力発電も自然エネルギー発電の 拡大に貢献し、世界全体で52GWが新設された。

 しかし、合わせて世界の最終エネルギー需要の5分の4を占める熱利用と交通部門での自然エネルギー利用は、電力部門に比べて大きく遅れをとったままである。

2, 新設自然エネルギー発電への投資は、火力発電への巨額の補助金が現在もあるにもかかわらず、火力発電所と原子力発電所の正味追加分への投資額の2倍以上となった。2017年には発電部門への投資の3分の2以上が 自然エネルギーへと向けられた。その理由は、自然エネルギー発電の コスト競争力が高まっていることに加え、今後も電力分野での自然 エネルギー割合は増加の一途をたどると考えられているからである。

 自然エネルギーへの投資は特定の地域に集中している:2017年の世界の自然エネルギー投資の約75%が中国と欧州、米国に向けられた。

 しかしながら、GDPあたりの投資額で見ると、マーシャル諸島、ルワンダ、ソロモン諸島、ギニアビサウ、その他多くの発展途上国において、先進国や新興経済国と同等かそれ以上の投資が行われている。

3,もし世界がパリ協定に基づく目標を達成しようとするならば、熱利用部門と交通部門は電力部門と同じ道筋を、速く辿る必要がある。ところが熱利用と交通部門では以下の状況が見られる:

 太陽光発電の設備容量は前(2016)年と比べて29%増の 98GWだった。これは、石炭火力発電、天然ガス発電、原子力発電の正味拡大分の合計よりも多かった。風力発電も自然エネルギー発電の拡大に貢献し、世界全体で52GWが新設された。

3-1, 熱利用部門では自然エネルギーの導入はほとんど進まなかった:現代的な自然エネルギー*2は2015年に世界全体の熱生産量合計の約10%を供給したにすぎない *3。電力部門の自然エネルギー目標は146カ国が設定している一方で、熱利用部門の自然エネルギー利用の国家目標は全世界で48カ国にしかない。

*2「現代的な自然エネルギー」とは、非効率で空気汚染を引き起こす伝統的バイオマス燃焼を除く、現代的な燃焼技術や排気処理による自然エネルギー利用を指す。
*3 4項参照。

3-2,交通部門では、依然として化石燃料が圧倒的に優勢ではあるものの、電動化が進むことで自然エネルギー導入の機会となりうる:毎年3,000万台以上の電動二輪車や電動三輪自動車が世界の道路輸送で増加 しており、120万台の電気自動車が2017年に販売され、2016年と比べて約58%増加した。電力は交通部門のエネルギー需要の1.3%を供給し、その4分の1が自然エネルギーによるものであった。さらにバイオ燃料は2.9%を供給した。しかしながら、全体として見ると、交通部門のエネルギー需要の92%は石油により賄われており、交通部門での自然エネルギーの利用目標を定めているのは42カ国にすぎない。

4,最終エネルギー消費における自然エネルギー割合(部門別 2015年)

 伝統的バイオマスを除いたケースでは、自然エネルギーの占める割合はさらに低下する。1割程度となろう。

 これらの部門を転換していくためには、正しい政策枠組みを実現することが必要であり、遅れている部門での自然エネルギー技術のイノベーションと発展を刺激する必要がある。
 アルソロス・ゼルボスREN21議長はこう付け加える:「エネルギー転換を実現するためには、政府による政治的リーダーシップが必要となる。化石燃料と原子力への補助金をやめること、必要なインフラへの投資を行うこと、熱利用と交通部門への意欲的な目標と政策を確立することがその例である。こうしたリーダーシップがなければ、世界が気候変動と持続可能な発展に向けた誓約を 達成することは難しくなるだろう。

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[補足]
 REN21「自然エネルギー世界白書」について
 REN21の自然エネルギー世界白書2018は、2017年末までの発展と傾向、可能な情報については2018年初頭までの傾向をまとめている。

 自然エネルギー世界白書は2005年に初めて公表され、世界の自然エネルギー
市場や産業、投資、政策動向についての状況と直近の進展、傾向をまとめた包括的かつ時宜に適した年次報告書である。分析や予測は意図的に排除されている。データは世界中の900名の貢献者、研究者、著者のネットワークから提供されている。  www.ren21.net/gsr-2018

  REN21について
“Renewable Energy Policy Network for the 21st Century”
(本部:フランス パリ)は、2004年に設立され、国際的な自然エネルギー政策に関する多様なステーホルダーをつなぐネットワーク組織。
     www.ren21.net/

  その他の参考資料
 REN21「自然エネルギー世界白書」関連の資料は、ISEPの「自然エネルギー
世界白書」特集ページからもダウンロードできる。「自然エネルギー 世界白書2016年版」までのレポート(日本語、英語)、「自然エネルギー 世界白書2017年版サマリー」(日本語)もこちらの特集ページに掲載して いる。↓

   ISEP特集「自然エネルギー世界白書」- www.isep.or.jp/gsr/

                               以上

ネクスト・クラフトヴェルケ社は、新しいエネルギーの世界を形作る ー有益で、デジタル、持続可能なー

[出典:ネクスト・クラフトヴェルケ社HP > ABOUT > Our company > Download > Company
https://www.next-kraftwerke.com/wp-content/uploads/company-brochure-vpp-next-kraftwerke.pdf]

     — どのような企業か —

   エネルギー変換用ヴァーチャル発電所(VPP)
 2050年には、ドイツで生産される5kWのエネルギーのうち、最低4kWが再生可能エネルギー源、理想的にはすべてのkWは持続可能な形で生産されることになる。2013年、再生可能エネルギーに基づく新発電所の数は、従来方式の新発電所の数よりも多くなっている。分散型の小規模発電所へのこの巨大なグローバルな変革は、大規模な発電所を時代遅れにするであろう。
 課題:信頼性の高いエネルギー供給を保証するために、これらの新しい分散型発電機と消費者をインテリジェントに調整して制御すること。
 これが当社のVPPが活躍する場所なのだ。現在、当社のシステムは、4,200以上の電力生産および消費ユニットを管理している。これには、バイオガス、風力、太陽光発電などがある。
 総容量は2,800MW以上で、電力網のバランスの変動を助けるだけではない。当社の24/7電力取引フロアを使用して、様々な欧州電力取引所(EPEX Spot あるいはEEXなど)の電力を交換し、生産者と消費者双方にとって最適な価格を見つける手助けをしている。
 再生可能エネルギー源は、生態学的にも経済的にも適切な選択肢であることを、我々は証明している。すべてのVPP参加者とともに、我々は100%再生可能エネルギー源からの信頼できる電力生産で、将来のエネルギー景観を形成している。
[ H・セミッシュおよびJ・シュヴィルは、ネクスト・クラフトヴェルケ社創立者であり役員である。 ]

  図1-ネクスト・クラフトヴェルケ社の業容

   NEXT POOLの仕組み
 気象に依存するエネルギー源に基づくエネルギー供給は、変動のバランスを確実に取る必要がある。これはまさに我々のVPPであるNEXT POOLが行うように設計されている。それは電力生産者と消費者をネットワーク化し、制御する。
 しかし、これはどのように機能するか? ソーラーパークのための日照の少ない曇った日を想像すると、我々の集約されたバイオガスプラントが発電に参加して生産を増やすのだ。また、期待していたよりも風が強い日を想像すると、我々のネットワークの消費者はより安い価格で恩恵を受け、より多くの電力を消費できるのだ。グリッド周波数が低すぎて不安定になると、ネットワーク化されたアセット(資産)グループが起動し、数秒以内に電力が供給される。

  図2-電力供給ネットワーク

   Next Poolにおけるアセットおよびクライアント
> 再生可能エネルギーアセット    > ガス・コージェネ*
> 公共事業 > 100.000 kWh以上の電力消費者
> 発電セット             > グリッド・オペレーター
> 蓄電機
* 「コージェネレーションシステム(CHP)」とは、熱源より電力と熱を生産し供給するシステムの総称であり、国内では「コージェネ」あるいは「熱電併給」、海外では、”Combined Heat & Power”あるいは”Cogeneration”等と呼ばれる。

     — NEXT POOLが提供するもの —

   参加者の収入を増やす – 誰にとっても安定したグリッド
 電力は必ずしも同じ価格ではない。電力取引所では、電力の価格が毎日96回以上変化する。電力生産者と消費者は、VPPのお蔭で価格の変動から利益を得ることができる。NEXT POOLでネットワーク化された集約ユニットとしてプールされた資源は、様々な電力市場に参加するのに十分な大きさなのだ。しかし、それは実際にどのように機能するか?
 ここに例がある。:バイオガスプラントの所有者は、電力取引所の現在の価格に従って生産を調整する。:価格が高いときは生産が上がり、価格が低いときは下がる。これは経済的な意味を持つが、電力システム内の電力生産者の役割も強化する。
 柔軟に消費を調整できる大規模な電力消費者は、電力市場の変動から利益を得ることができる。:電力市場価格が低いときは消費を増やし、価格が高いときは消費を減らす。
 さらに、管理された準備金市場に参加することにより、収益の増加の機会が得られる。:電力生産者と消費者は、VPPを介してグリッド周波数の変動を平準化する柔軟性を提供することができる。これらのユニットは、太陽光や風力などの再生可能エネルギー源の変動性供給をバランスさせることによって、エネルギー移行を積極的に支援する。
 力あるトレーダーと、我がVPPにおける特別に開発されたアルゴリズムのおかげで、我々は常に最適なパフォーマンスのためにどのアセットを使用できるかを知っている。この情報は、VPPのコントロールシステムを使用して、アセットに自動的に送信されるようになっている。
[VPPに参加している4,257人中の1人:G・クラーセン、生産マネージャー、KBB バイオガス有限会社およびクラフトヴェルケ社, キルヒリンテルン]

     — 働き方 —

   多彩な専門家が一つ屋根の下に
 ネクスト・クラフトヴェルケ社本部には、ネットワーク化されたアセットのスマートな提供に必要なすべての部署がある。:IT、制御および通信システム、電力取引フロア、顧客関係、および販売。これらのプロセスは、VPPを継ぎ目無く実行する上で不可欠だが、この完全なサービスアプローチは、多くの電力生産者、消費者、およびユーティリティ会社がネクスト・クラフトヴェルケ社と長年協力してきた理由の1つでもある。
 我々と連絡を取ったときに、誰も匿名のホットラインに話すことはしない。ネクスト・クラフトヴェルケ社では、常に専用の連絡先に繋がるようになっている。
 前述の外部サービスパートナーにより、当社は顧客にできるだけ近づき、間接費を低く保っている。これは、クライアントにとってより多くの収益を意味する。たとえば、市場アクセス、取引、またはバランシング料金を徴収する外部の電力取引業者には依存していない。
 社内取引フロアでは、顧客に幅広いサービスを提供することができる。:EPEXスポットやコントロールリザーブ市場、その他の欧州の電力市場での開場前および日間の市場への直接アクセスを提供している。毎日、当社の優れて有能なトレーダーは、顧客にとって最良の結果となることを目指している。
 さらに我々は、公益企業、エネルギープロバイダー、およびバランシンググループマネージャーの仕事を支援する。VPPの4,200以上のアセットの供給および消費生データは、詳細な予測の基礎を形成する。さらに、気象アナリストの気象データも継続的に更新され、当社の予測を補完している。
[ネクスト・クラフトヴェルケ社の取引チームは、ヨーロッパの様々な電力取引所で24/7取引を積極的に行っている。]

   生産品とサービス
> 市場アクセス   > 電力取引        >バランシング・グループ管理

> 制御予備     > ポートフォリオ管理   > 需要対応

> 柔軟な電力料金

   社内で設計され、運営されている
 VPPの可能な限り最高の制御を維持するために、我々はすべての作業プロセスを社内で処理する。我々によって開発された主要技術コンポーネントに加えて、VPPの運営はネクスト・クラフトヴェルケ社によって完全に管理されている。

     — 設備の機能 —

   数千のユニット – 非常に安全なシステムにデジタル接続
 2つまたは3つの大規模従来型発電所の能力に合わせて数千の小規模ユニットを集計する時、そこには多くの技術が関与している。産業4.0、デジタル化、クラウドコンピューティング等の流行語があるが、結局のところ我々のアプローチは基本的なコンセプトに行き着く。:経済的に実行可能でありながらグリッドに合理的なサービスを提供し、電力生産と消費を効率的に制御するために膨大な量のデータを整理し分析する。
 VPPの中心には、当社のシステムエンジニアによって完全に維持管理されている制御システムがある。この制御システムは、M2M通信を介してすべてのアセットと自動的にデータを交換する。制御システム、グリッドオペレータ、およびアセット間の継続的なデータ交換は高度に暗号化されている。余裕あるサーバー構造により、VPPは停止されないことが保証されている。
 当社の制御システムにより、VPPにおいてどのくらいの容量が利用可能か、およびコントロールリザーブ(余剰制御)市場にどれだけの柔軟性を提供できるかが常に分かるようになっている。さらに、この制御システムにより、
EPEX SPOTの日中市場からの価格シグナルに応じて、15分ごとに柔軟な電力生産およびアセットの消費を調整することができる。
 アセットを制御システムに接続するために、NEXT BOXを使う。一度インストールされると、すべての監視データを制御システムに送信し、アセットに価格最適化、したがって収益最適化のスケジュールを実装する。

  図3-NEXT_BOXの写真

VPPへのM2M接続:Next Boxは分散されたアセットを制御システムに接続する。

     — 業績 —

<< 業容 >>           << 賞 >>
・VPPの全容量:2,800 MW以上   ・2017年インターソーラー賞受賞 他多数
・接続アセット数:4,200以上
・取引電力量(2016):10.2 TWh
・設立:2009年
・支社数:11
・従業員数:135名
・売り上げ(2015):273百万ユーロ

  図4_設立時のVPP

   ケルンから世界へ
 2009年、我々はケルンのエーレンフェルド地区でVPPのビジョンを開始した。現在、ヨーロッパ最大のVPPの1つを、2つの原子力発電所に相当する総容量で運営している。我々は、生態学的かつ経済的に実行可能な電力生産を実現させると言う世界的なエネルギー転換の目標を追求しつつ、成長を続けている。

[ Next Kraftwerke :Lichtstraße 43 g • 50825 Köln • Germany ]
T: +49 (0)221 82 00 85 70
F: +49 (0)221 82 00 85 99
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International offices :Berne • Brussels • Lyon • Milan • Nantes • Paris • Warsaw • Vienna

日本:再生可能エネルギーによる、より大きなエネルギー安全保障 ~原子力経済後の電力転換

[出典:The Institute for Energy Economics and Financial Analysis(IEEFA) Report
“Japan: Greater Energy Security Through Renewables”
~Electricity Transformation in a Post-Nuclear Economy
http://ieefa.org/wp-content/uploads/2017/03/Japan_-Greater-Energy-Security-Through-Renewables-_March-2017.pdf

March 2017
Tim Buckley, Director of Energy Finance Studies, Australasia and
Simon Nicholas, Energy Finance Analyst ]

<< Executive Summary >>

 このレポートは、日本の電力システムが直面しているリスクと課題が、再生可能エネルギーへの投資を通じてどのように改善され、かつエネルギー安全保障を構築し、輸入化石燃料と原子力発電への長期的依存性を減少させるかを概説している。

 評価の基本は、エネルギー効率の上昇が過去6年間の日本の電力需要を押し下げており、今後もそうすることができるということである。この重要な要因の肯定的な影響は、しばしば控えめに及ぼされる。

 日本のエネルギー効率は、再生可能エネルギーの拡大を支えている。日本の電力部門に関する我々のモデルでは、電気自動車の可能性が高いにもかかわらず、需要の落ち込みが、再生可能エネルギーへの投資の理想的なシナリオを作り出すことを示している。

 東京電力の福島原発事故の6年後、日本はエネルギー政策の転換期に入っている。その課題は、経済成長の低迷、人口の減少、電力需要の減少(2010年のピーク時に比べて11.5%減)などである。

 2011年以降、原子力発電なるベースロードを化石燃料ベースロードに置き換えることを奨励する政策はコスト高であることが判明し、結果として、ますます利用可能なコストを急速に下げられる技術的利益見通しのある再生可能エネルギーの開発機会が失われた。

 日本のエネルギー転換について問われるのは、経済を超越する問題である。確かに日本のエネルギー安全保障は依然としてリスクがある。福島事故以前には、原子力が原子力発電の長期的な生産に重要な役割を果たすことを確保するために、日本は十分な核燃料を持っていた。福島の原子炉の閉鎖以来、この国は化石燃料の輸入に深く頼ることとなった。これは、貿易収支の30年分の貿易黒字から、2014年には1,160億ドルに達する赤字への逆転に寄与することになる。

 日本は、パリの気候変動に関する合意を約束し、発電ミクスにおける再生可能エネルギーのシェアを増加させることにより、これからの長い道のりを辿ることができる。それには強い政策指導力が必須となる。

== 主な所見 ==
1. エネルギー生産性の向上は、2010年の1,140TWhから2030年には868TWhへと電力需要を減少させる。
 日本の人口減少が経済成長を制限し、世界をリードするエネルギー効率がさらに高いエネルギー生産性向上を推進しているため、過去6年間と同じように、電力需要は少なくとも2030年まで減少すると見られる。2010年度の発電量は1,140TWhであったが、2015年度には11.5%減少して1,009TWhになった。IEEFAは毎年2%の生産性向上を見込み、2030年までに発電量は868TWhまで減少するとみる。

2. 日本が電力業界を再構築する中で、2030年までに太陽光発電は日本の発電ミクスの12%を占めることができる。
 総発電量が減少するにつれて、太陽光発電は現在の4%から、2030年には日本の電力ミクスの12%を占める可能性がある。日本は2013年から2015年の間に、太陽光発電の世界第2位の導入国となった。しかし、この拡張を支持する寛大な援助関税が終了すると、太陽光発電の成長を永続させるためには、日本政府の新たな政策支援が必要となるだろう。
 最近の大規模太陽光の逆オークションへの動きは、現在世界中で達成されているような太陽光発電コストの大幅な削減を、日本でも実現できることを示している。もし導入されれば、屋上のソーラーと継続的な市場改革に焦点を当てる政策は日本の再生可能エネルギーの範囲を広げ、一方、大きな水力発電容量と地域間のグリッド接続性の向上は太陽光発電を増加した地域のグリッドに統合するのに役立つ。

3. 日本の洋上風力発電は膨大な可能性を秘めており、ベースロード電力需要に貢献する可能性がある。
 限られた適切な土地のための日本の長い承認プロセスのために陸上風力の開発は遅いが、洋上風力開発には重要かつ見過ごされた機会が存在する。実際に、洋上風力発電は日本の長期エネルギー計画で大きく逃した巨大な可能性を秘めている。日本には世界で最も優れた製造業がある。これはおそらく最高である。いくつかの日本企業はこのフロントで行動し始めて居る。三菱重工業は現在、洋上風力技術の研究開発を行っており、MHI Vestas Offshore Windとのジョイントベンチャーを通じて、オフショアタービンを供給している。
 中国と米国は、この主要で未使用の資源を積極的に活用しようとしている。土地制約問題がないと言うオフショア風力固有の特徴は、45%から50%の稼働率と同様に有利に機能し、ベースロード電力に寄与できることを示している。IEEFAは、日本の洋上風力は2030年度までに10GW電力容量に達すると見なしている。この時期にヨーロッパと中国は、それぞれ100GWのオフショア生産能力に達することができるだろう。

4. 日本は、2030年までに電力需要の35%を再生可能エネルギーで満たす立場にある。
 太陽光発電と洋上風力発電容量を増やし、生産工場の電力需要を減少させる強力な推進政策を考慮すれば、日本の総再生可能エネルギーシェアは2030年には発電量の35%に倍増するだろう。IEEFAのモデルには水力とバイオマスが含まれ、COP21の約束を果たす日本政府に依存している。
 日本が国の再生可能エネルギープログラムを支援するために資本市場を活用できるよう変化を起こすには、再生可能エネルギープロジェクトへの規制やグリッド障壁が大幅に低下することが必要となる。政府が再生可能エネルギーとエネルギー効率のために70億ユーロのグリーンボンド・イニシアチブを開始したフランスでは、同様の進歩が最近行われた。これが日本で起こった場合、再生可能エネルギー総量が2010年度末に100GW、2030年に159GWに達し、2010年の発電量のほぼ3倍に達するとIEEFAは見積もっている。

5. 福島原発事故後の日本の原子力産業は、おそらく回復しないだろう。
 IEEFAは、日本の40GWのオフライン原子力発電容量のうち、2030年までに稼動開始するのは4分の1に過ぎないと見ている。それまでの原子力発電の総発電量はわずか8%であり、政府目標の20-22%には到底達さない。日本は発電ミクスの多様化とエネルギー安全保障の向上のために原子力発電を再開しようとしているが、経済的に苦労している事業者は、原子炉が寿命に達する前に新たな安全基準を満たさねばならないと言う逆風に晒される。

6. 日本は、新しい石炭火力発電所の建設計画を大幅に縮小する可能性が高い。
 日本が提案している45の新しい石炭火力発電所のほとんどは計画段階にあり、日本の電力需要減少のために多くは建設段階に達しないであろう。提案された石炭火力発電所群の拡張が、実際に全容量を追加するか、単に既存の熱容量を置き換えるかどうかはとにかく不明であり、このプロジェクトの勢いは消えつつある。日本の大手電力会社(EPCO)は最近、石炭発電計画の見直しを開始した。関西電力は、電力需要の減少を受けて2017年1月、石炭火力発電から石炭火力発電に切り替えるプログラムを停止すると発表した。

 2030年に正味熱容量が拡大しないと仮定しても、電力需要の減少と再生可能容量の増加は、そのような能力の稼働率を低下させるであろう。IEEFAは、2030年までに日本の火力発電量が2015年比で40%減少すると見ている。

 同じような傾向は中国とインドでもしばしば見られ、熱需要と再生可能エネルギーの両方を同時に導入することで、これらの国の電気需要が増えつつあるにもかかわらず、2016年に石炭火力発電所の稼働率がそれぞれ47%と56%に低下するとの見通しを立てている。

 IEEFAはオフラインの原子炉の4分の1だけが復旧すると予想している。万一、日本の原子力再稼働がこのレベルを超えた場合、その結果は熱発電利用率をさらに下げる圧力になる。

 電力転換が進むに伴い、スマートで国家的に接続されたグリッドへの投資に向けた世界的な動向から、再生可能エネルギーとエネルギー効率が益々頼りになることを日本は学ぶことができる。
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[管理者脚注:(IEEFAのホームページから)
 エネルギー経済金融研究所(IEEFA)は、エネルギーと環境に関連する財務および経済問題に関する調査と分析を行っている。この研究所の使命は、多様で持続可能で収益性の高いエネルギー経済への移行を加速することである。

IEEFAは、次の慈善団体からの資金援助を受けている。
the Rockefeller Family Fund, Energy Foundation, Mertz-Gilmore Foundation, Moxie Foundation, William and Flora Hewlett Foundation, Rockefeller Brothers Fund, Growald Family Fund, Flora Family Fund, and Wallace Global Fund,]
                                     以上

エネルギー転換への視点:低炭素エネルギーシステムへの投資ニーズ

[副題]脱炭素化への世界的取り組みを提言

[ 出典 ]
http://www.irena.org/menu/index.aspx?mnu=Subcat&PriMenuID=36&CatID=141&SubcatID=3828

この共同研究では、G20諸国および世界のエネルギー部門における脱炭素化の可能性について検討している。第3章「世界的なエネルギー転換の展望と再生可能エネルギーの役割」は、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の調査結果を強調している。

詳細は報告書または要約書*を参考のこと。
* http://www.irena.org/DocumentDownloads/Publications/
Perspectives_for_the_Energy_Transition_2017_Executive_Summary.pdf

[時期は2017年・G20開催前]

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要約書

著者:国際エネルギー機関(IEA)および国際再生可能エネルギー機関(IRENA)

研究の範囲

ドイツ政府は、IEAとIRENAに、パリ条約に定められているように世界の温度上昇を2℃以下に十分抑えることと一致する、エネルギー部門転換に不可欠な要素を明らかにするよう求めている。
この調査の最も重要な目的は、費用効果の高い方法により、そのような転換を促進するために必要な、発電、輸送、建物および産業(加熱および冷却を含む)における低炭素技術への投資規模および範囲を分析することで、併行して他の政策目標にも取り組んでいる。
この報告書の調査結果は、2017年ドイツG20大統領府におけるエネルギーと気候に関するG20の作業に通知される。

今世紀半ばまでの世界について、エネルギー関連の温室効果ガス排出量を大幅に削減するための道を拓くエネルギー部門への投資ニーズを、IEAとIRENAは別々に調査した。両機関は、パリの2℃以下の目標に寄与する方法として、2100年までに地球平均気温の上昇を2℃に66%の確率で抑制することに適合する、1つの中核シナリオを策定した。
IEAとIRENAの分析は共に、エネルギー部門について同じ炭素予算から始める。しかしながら二つの分析には、目標到達への道筋が異なる:IEAが実施したモデリング分析では、技術的に中立的なエネルギー部門の脱炭素化への道筋をつくることを目標としており、各国の特定の状況を考慮して、すべての低炭素技術が含まれている。IRENAが実施した分析では、他の低炭素技術を考慮しながら、エネルギー効率と再生可能エネルギーの潜在的可能性を気候目標達成に向けて強調するエネルギー転換を描いている。

IEAとIRENAは異なるアプローチでエネルギー部門の分析を行い、異なるモデルやツールを使用しているが、グローバルエネルギー部門の適時な移行のための経路と枠組みの関連性を支持する、高レベルの成果には類似点がある。

炭素収支

全地球表面温度の平均上昇は、二酸化炭素(CO2)の累積排出とほぼ線形の関係にある。この有用な関係は、選択された温度目標を下回る可能性と関連し得る、残りの全体的な「CO2収支」(所定の時間枠にわたって放出されるCO2の累積量)、という概念をもたらした。

パリ合意では、気温上昇を「十分2℃以下」に保ち、気温上昇を1.5℃に制限しようと努力している。しかし、実際には「十分2℃以下」とは何か、あるいは温度目標にどのような確率を付けるべきかについての明確な指針はない。このレポートの目的のために、一時的な枠超えを起こすことなく、21世紀全体の平均気温上昇を2℃以下に保つ確率が66%のシナリオに焦点を当てることにした。
この定義と一致する関連CO2収支を理解することは、エネルギー部門の移行のペースと範囲をモデル化する上で重要な考慮事項である(表ES.1)。2℃以下に留まる可能性が66%のCO2収支の見積もりを作成するには、非CO2排出量のレベルと料金を見積もる必要がある。この研究の目的上、非エネルギー部門に由来する非CO2排出は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書のデータベースからのシナリオに依存している。
本研究の目的上これらの仮定を用いて、2015年から2100年までのCO2収支は、880Gt(ギガトン)と推定される。これは、CO2収支を検討した研究のうち、590~1,240 Gt CO2の範囲の中央に位置し、2%以下に留まる可能性は66%である。

[ 表1: 本研究でIEAとIRENAによって開発された脱炭素化シナリオにおけるエネルギー部門  CO2収支]
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(Gt CO2)              2015 – 2100
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全CO2                 880
産業プロセス             -90
陸上利用、陸上利用変化、林業   0
エネルギー部門CO2収支      790

このレポートで調査された66%2℃シナリオは、2100年だけでなく21世紀の間にも2℃以下の温度上昇を維持することを認識することが重要だ。この温度の一時的な枠超えは、どの年においても許されない。この作業前提の主な理由は、2100年にこのレベルに落ちる前に特定の温度上昇が一時的に枠超えするのを許すことは、将来のいつかの時点である規模で(炭素捕獲と貯蔵を伴う、直接的な空気の捕獲、強化された風化、植林、炭、バイオエネルギーなどの)脱CO2技術に頼ることを示唆する。土地利用の要求のための炭素捕獲と貯蔵(BECCS)によるバイオエネルギーの普及の影響評価、またはCO2を除去するための非エネルギー技術の潜在的可能性の評価は、この報告の範囲外である。

それにもかかわらず、IPCCが第5次評価報告書で評価したシナリオの多くは、2100年の特定の気温上昇を2℃に制限することを目標としており、地球規模のエネルギー部門全体が、世紀末までに大気からのCO2排出を吸収していると言うようなBECCSに大きく依存している。彼らは負の排出技術がある規模で利用可能になるまで、CO2排出削減を遅らせる可能性はないので、したがって本研究で開発されたシナリオは、2℃の目標を達成するために必要なエネルギー排出削減のタイミングと範囲に関して野心的であることになる。それにもかかわらず、シナリオは負の排出技術が利用可能になると、より厳しい気候目標を将来達成する可能性を提供する。

66%2℃シナリオのエネルギー部門のみのCO2収支に達するためには、エネルギー部門における化石燃料の燃焼に関係しないCO2排出量を、総CO2収支から差し引く必要がある。これらの排出は主に、工業プロセスおよび土地利用、土地利用変化と林業(LULUCF)の2つの要因から生じる。後者については、この研究で使用されたLULUCFからのCO2排出量の見通しは、IPCCによって分析された36の独自の脱炭素化シナリオの中央値に基づいている。この研究では、LULUCFからのCO2排出量は、2015年の3.3 Gtから世紀半ばまでに0に落ちると仮定している。
その後、LULUCFは21世紀の残りの期間にわたってCO2の純吸収体となり、その結果、2015年から2100年までのLULUCFからの累積CO2排出量はゼロに近づく。

これら2つの要因の正味の効果は、総CO2収支の880Gtから790Gtのエネルギー部門のみの収支に減らすことである。その挑戦は厳しいものとなる。比較すると、現在の国家決定拠出(NDC)は、2050年までエネルギー部門がほぼ1,260Gt、すなわち許容収支よりも約60%多い排出量を出すことを意味する。

IEAの知見

66%の確率で地球平均気温上昇を2℃以下に制限するには、例外的な範囲、深さおよび速度のエネルギー移行が必要となる。 エネルギー関連のCO排出量は、2020年までにピークに達し、2050年までに今日のレベルから70%以上低下する必要がある。一次エネルギー需要の化石燃料のシェアは2014年から2050年にかけて半減するが、再生可能エネルギーやCCS(炭素回収・貯留)と共に原子力や化石燃料を含む低炭素資源のシェアは世界で3倍以上になり、2050年のエネルギー需要の70%を占める。

66%2℃シナリオでは、すべての国の低炭素技術のすべてを総動員することが要求される。化石燃料補助金の急速な廃止、前例のないレベルへのCO2価格の上昇、広範囲のエネルギー市場改革、そして低炭素とエネルギー効率の厳格な要求といった野心的な政策尺度が、この移行を達成するために必要となるだろう。このような政策は、66%の2℃シナリオを達成するために、すべての国で直ちに包括的に導入する必要があり、CO2価格はトン当たり190米ドルに達する。このシナリオでは、低炭素技術の開発と展開を促進するため、技術の協力に対する世界的な取り組みがより広範かつ深く求められている。

エネルギーおよび材料効率の改善、そして再生可能エネルギーのより高い展開は、世界的な低炭素移行の不可欠な要素である。 66%2℃シナリオでは、世界経済のエネルギー強度を2014年から2050年の平均で2.5%低下させるための、積極的で効率的措置(過去15年間に見られた改善の速度の3.5倍よりも大きい)が必要となるだろう;風力と太陽光を合わせたものが2030年までに最大の電力源となるだろう。これには、柔軟性を確保するためのルールと技術とともに、様々な再生可能エネルギーの大部分を統合するために電力市場を再設計するための大きな努力が伴う必要がある。

[ 図1、新しい政策シナリオと、66%2℃シナリオにおける技術と地域による世界的な排出削減対比 ]

<注:新しい政策シナリオは、パリ協定のNDCのエネルギー部門への影響を反映している。>

<<注目点:G20諸国は、66%2℃と新政策のシナリオの間で、2050年における排出量のほぼ4分の3を 削減することを準備していた。>>

66%2℃シナリオを達成するためには、エネルギーを生産して使用する方法の深い転換が必要である。 2050年までに、電気の約95%が低炭素由来で、新車の70%が電気稼働で、既存の建物ストック全体が改装され、産業部門のCO2強度は今日より80%低くなる。

66%2℃シナリオを達成するためには、エネルギー供給投資の基本的な再調整と低炭素需要側の投資の急速な拡大が必要であろう。 2015年の1兆8000億ドルに対し、2016年から2050年にかけて、毎年約3.5兆ドルのエネルギー部門投資が必要となるだろう。化石燃料の投資は減少するが、2015年から2050年の間に再生可能エネルギー供給投資が150%増加することによって大きく相殺されるだろう。低炭素技術への需要側の投資の総額は、同じ期間に10倍の割合で急増する必要がある。現在の気候に関する約束から生じる傾向と比較して、付加的な純投資額は、2050年の世界のGDPの0.3%に相当する。

[ 図2、66%2℃シナリオにおける年間平均世界のエネルギー需給サイド投資 ]

< 注:T&D = 伝送と配分; EVs = 電気自動車; CCS = 炭素捕集貯蔵 >

<< 注目点:供給側投資の水準は依然として一定だが、化石燃料からシフトしている。効率と 低炭素技術への需要サイド投資は、2040年にはほぼ3兆ドルにまで上昇する。>>

化石燃料は、66%2℃シナリオでもエネルギーシステムの重要な部分ではあるが、様々な 燃料の料金は異なる。 石炭の使用は最も急速に減少するだろう。石油消費も減少するだろうが、その代替はいくつかの分野で仕掛けられる。現在の生産場所の減少が需要の減少よりも大きいため、新たな石油供給への投資が必要となるだろう。天然ガスは、いくつかの部門にわたる移行において重要な役割を果たす。

エネルギーの移行を促進するためには、早期、協調的かつ一貫した政策行動が不可欠 である。 エネルギー市場は、あらゆる種類の技術のリスクを負っており、一部の資本は回収できない(「無支援資産」); 気候政策はさらなる検討を加えることになる。66%2℃
シナリオでは、電力部門において、気候政策による追加のリスクの大半は石炭火力発電所
にある。ガス火力発電所は、長年に渡って柔軟性の重要な提供者であり、また、石炭火力
発電所よりも資本集約性が低いので、より影響を受け難い。化石燃料上流部門は、電力
部門に加えて、投資を回収しないリスクも伴う可能性がある。同じ炭素収支を維持しながら
10年間の移行を遅らせることは、完全に回収されないリスクの3倍以上になる。
CCSの導入は、化石燃料資産が投資を回収し、低炭素移行時に無支援だった資産を、最小限に抑えるのを助ける重要な方法を提供する。

よく設計された政策では、大気汚染の大幅な改善と化石燃料の輸入法案や家計のエネルギー 支出の削減は、66%2℃シナリオで達成された脱炭素化を補完する。 すべての人にエネルギーへの普遍的なアクセスを達成することが重要な政策目標である。その成果は気候目標に達することを危険にさらすことはない。気候目標を追求することは、エネルギーアクセスを増やすための公益をもたらすことができるが、気候政策だけでは普遍的なアクセスを達成することはできない。

[ 図3、66%2℃シナリオにおける選択された主要指標の動向 ]

<< 注目点:低炭素エネルギー部門への移行は、大気汚染や家計の燃料費の削減など、他の 重要なエネルギー政策目標を達成するのに役立つ可能性がある。>>

 IRENAの知見

再生可能エネルギーとエネルギー効率対策の迅速な導入は、エネルギー転換の重要な 要素である。 2050年までに、再生可能エネルギーとエネルギー効率は大部分の排出
削減ニーズ(90%)を達成し、化石燃料の切り替えとCCSによって約10%が達成される。
REmap脱炭素化のケースでは、原子力は2016年の水準に留まり、CCSは専ら産業部門に
配備されている。

再生可能エネルギーのシェアは、2015年の一次エネルギー供給の約15%から、2050年には65%に増加する必要がある。エネルギー強度の改善は、2030年までに年間約2.5%に倍増し、2050年までこの水準で継続しなければならない。 2050年のエネルギー需要は、エネルギー強度の大幅な改善のために今日の水準を維持するだろう。この改善の約半分は費用対効果の高い再生可能力に基づく、暖房、冷房、輸送、電化によるもので、再生可能エネルギーに起因する可能性がある。

 2050年のエネルギー供給ミックスは大幅に異なるだろう。 2050年の全化石燃料使用
量は、今日のレベルの3分の1になるだろう。石炭の使用は最も減少して、石油需要は今日の水準の45%になるだろう。生産コストの高い資源は、もはや利用されないだろう。
天然ガスは、再生可能エネルギーの大量利用の「橋渡し」となることがあるが、高レベルの
CCSと結合しない限り、その役割は限定されるべきだ。長期的な排出削減目標を念頭に置かずに天然ガスの展開が大幅に拡大すると、経路の依存と将来無支援資産のリスクがある。

 エネルギー移行は手軽にできるが、低炭素技術への追加投資が必要になる。 再生
可能エネルギーと有効化技術の範囲全体でさらに大幅なコスト削減を図ることは、投資
増加への主たる駆動力となろう、しかし累積的な追加投資は、2050年までの期間に29兆ドルに達する必要があろう。これは、参照事例で既に想定されている116兆ドルの
投資に加えて行われる。人間の健康への影響を軽減し、気候変動を緩和することは、
脱炭素化のコストよりも2倍から6倍の節約になる。

[ 図4、世界全体の一次エネルギー供給量、2015-2050 ]

<< 注目点:再生可能エネルギーは、2050年にREmapのもとで最大のエネルギー供給源であり、 エネルギーミクスの3分の2を占める。これには、年間で約1.2%の再生可能エネルギーシェアの 増加が必要で、これは近年に比べて7倍の加速となる。>>

惑星の温度上昇を2℃に制限し、このエネルギー移行の利点を最大限に引き出し、無支援 資産のリスクを減らすには、早期の行動が不可欠だ。 地球温暖化を1.5℃に制限する選択肢を実現可能に維持するには、早期に行動を起こすことも重要である。エネルギー部門の脱炭素化を遅らせることは、投資を増加させ、二重の無支援資産とすることになる。さらに、活動を遅らせると、大気から炭素を除去するために高価な技術を使用しなければならなくなる。

[ 図5、参照事例2015-2050と比較してREmapでの追加投資ニーズ ]

<< 注目点:2°Cの目標を達成するには、基準ケースと比較して、2015年から2050年の間に 追加で29兆ドルを投資する必要がある。>>

エネルギー転換は経済成長を促進し、新しい雇用機会を創出する可能性がある。世界のGDPは2050年に約0.8%増(1.6兆米ドル)となろう。今から2050年までのGDPの増加による累積利益は19兆米ドルに達するだろう。増加した経済成長は、投資刺激と成長促進政策の強化、特に炭素価格の使用と所得税の低減への収益のリサイクルによって促進される。最悪のシナリオ(資本の完全押し出し効果)では、成長促進政策の効果が依然として良好であるため、GDPの影響は小さくなるが、それでもプラス(0.6%)である。
重要な構造改革が行われる。化石燃料産業は部門別生産量の最大の減少をもたらすが、資本財、サービス、バイオエネルギーに関連するものは最も高い増加を経験する。エネルギー部門(エネルギー効率を含む)は、2050年に約600万人の追加雇用を創出する。化石燃料産業の雇用損失は、再生可能エネルギーの新しい雇用によって完全に相殺され、エネルギー効率化活動により多くの雇用が創出されるであろう。GDPの全体的な改善は、他の経済部門での雇用創出を促すだろう。

[ 図6、世界のGDPは資本の押し出し効果の様々なケースに影響する ]

< 注: 部分的な押し出し効果は、貯蓄を投資の少なくとも50%にすることによってモデル化
される。完全な押し出し効果は、投資と同等の節約を課す。
押し出し効果無しは、貯蓄と投資の間にいかなる関係も課していない。>

<< 注目点:世界のGDPは2050年に約0.8%(1.6兆米ドル)増加する見込みである。最悪の シナリオ(資本の完全な押し出し効果)では、成長促進政策の効果が依然として良好で あるため、GDPの影響は小さいが、依然としてプラス(0.6%)である。>>

経済的、社会的、環境的側面を含む人間の福祉の向上は、GDPによって捉えられたものをはるかに上回る恩恵をもたらすだろう。特定された脱炭素化オプションの約20%が、福祉の利点を考慮しないで経済的に可能である。残りの80%は、気候の影響の軽減、公衆衛生の改善、快適性と性能の向上などの利点が考慮される場合、経済的に可能である。しかし、今日の市場は歪んでいる。化石燃料はまだ多くの国で助成されており、化石燃料を燃やす真のコストは、炭素価格がない場合には考慮されていない。これらの便益を解消するには、民間部門には適切な動機を提供する、明確かつ信頼できる長期的な政策枠組みが必要である。

電力部門の厳しい排出削減は重要な機会であり、優先順位として実施すべきである。最終的な 部門での化石燃料使用量削減の主な課題に取り組むため、部門別アプローチはシステム全体を視野に広げなければならない。電力部門は現在、必要な排出削減を達成するべく進んでおり、電力システムの統合と最終用途部門との連携を重視するなど、継続的な努力が維持されなければならない。輸送では、電気自動車の台数が増加し、貨物や航空用に新しい手段を開発する必要がある。建物では新しいものが最高の効率基準であり、既存の建物が急速に改装されることが重要である。建物や都市の設計は、再生可能エネルギーの統合を促進すべきである。

革新への投資の増加は、複数の部門や工程に必要な新しい手段を開発するための十分な 時間を確保するべく今開始する必要があり、その多くは投資サイクルが長い。技術革新の努力は、新しい市場デザイン、新しい政策、新しい資金調達やビジネスモデルそして技術移転によって補完される必要がある。

[ 図7、REmap、2050年における部門と技術による最終的な再生可能エネルギーの利用 ]

<< 注目点:REmapのもとでは、2050年の最終再生可能エネルギーの使用量は現在の4倍になる。 電力と熱は、再生可能エネルギー総量の約40%と44%をそれぞれ消費する。>>

 提言

1.パリ条約の「2℃をかなり下回る」目的に沿ったエネルギーシステムの転換は技術的には可能であるが、重要な政策改革、積極的な炭素価格設定、追加の技術革新が必要となる。2050年の世界のエネルギー供給ミックスの約70%は低炭素である必要がある。2050年までの排出削減ポテンシャルの最大のシェアは、再生可能エネルギーとエネルギー効率にあるが、すべての低炭素技術(原子力と炭素捕捉と貯蔵[CCS]を含む)が役立つ。

2.エネルギー転換には、相当量の追加の政策介入が必要となる。
・再生可能エネルギーは発電において支配的役割を果たすことになる。様々な再生可能
エネルギーを非常に高いレベルで巧みに統合することは、コスト効率の高いエネルギー
部門への移行の重要な柱になる。
・電力市場の改革は、様々な再生可能エネルギーのシェア拡大の柔軟性のニーズに対応できるようにするために不可欠である。
・現在恵まれない人々のために最新のエネルギーサービスへのアクセスを確保することは、クリーンエネルギー技術の導入による大気の質向上と並んで最優先事項である。

3. 気候目標を達成するためには、エネルギー供給への総投資額は今日の水準を上回る必要はなく、最終用途分野では相当な追加投資が必要となる。
・エネルギー供給における投資ニーズは、今日のエネルギー部門が実施する投資レベルを上回るものではない。「十分2℃以下」の目的に相当する低炭素技術への投資は市場の基準になるということを確実にするためには、適切かつ意義ある政策シグナルが必要である。
・より効率的な家電製品、建物の改装、再生可能エネルギーおよび電化(電気自動車とヒートポンプを含む)のための産業および家庭における付加的な投資需要は重要である。エネルギー消費者がより効率的な技術の使用によってもたらされる、より低いエネルギー支出の潜在的利益を享受するためには、より高い先行投資ニーズが確実に動かされるようにする政策が必要であろう。

4. 2050年まで化石燃料はまだ必要である。
・化石燃料の種類の中で、石炭の使用は気候目標を満たすために最も減少するだろう。
・天然ガスは、電力部門におけるシステムの柔軟性を確保し、暖房目的および輸送における、より高い炭素排出量を有する燃料を代替するために、エネルギー移行において重要な役割を果たすであろう。
・石油の使用は、炭素集約度の低い供給源に取って代わられ減少するであろうが、その代替は石油化学品のようないくつかの分野では困難である。
・CCSは、IRENA分析では業界部門のみであるが、IEA分析では電力部門と産業部門において重要な役割を果たしている。

5.劇的なエネルギー部門の移行には、安定した長期的な価格シグナルが経済的に効率的であること、低炭素技術が適時採用可能なこと、そして無支援のエネルギー資産の量を最小限に抑えることが必要となろう。遅れた行動は、無支援資産と投資需要を大幅に増加させるであろう。

6.再生可能エネルギーとエネルギー効率は、世界の低炭素転換を成功させるためにはすべての国にとって不可欠だが、エネルギー部門の可能性、政策や技術の優先順位など、各国の状況に応じて他の低炭素技術によって補完する必要がある。

7. エネルギー部門の移行は、電力部門と最終用途部門の両方に及ぶ必要がある。
・電気自動車は乗客と貨物輸送の支配的なシェアを占めるだろう。
・再生可能エネルギーの配備は、電力部門を超えて熱供給と輸送に移行する必要がある。
・手頃な価格、信頼性の高い持続可能なバイオエネルギー供給は、とりわけ最終用途部門における限られた代替選択肢に照らして優先事項となる。

8.技術革新は、持続可能なエネルギー部門への長期的な移行の中核にある。
・技術革新の短期間での研究、開発、デモンストレーションおよび展開(RDD&D)の支出は
重要な技術の可用性を確保し、コストをさらに下げるのに役立つ。
・既存の技術だけでは、必要な排出削減量のすべてを達成することはできない。電気トラックや蓄電池などの市場で、意義在るだけの規模でまだ利用可能ではない追加の低炭素技術が、既存の選択肢を補完するために求められる。
・技術革新は、支持的な政策や調整設計、新しいビジネスモデル、手頃な資金で補完され
なければならない。

9.非効率な化石燃料補助金や炭素価格の段階的廃止による価格シグナルの強化は、平等な場を提供するのに役立つが、2℃の目標を十分に下回る他の措置によって補完する必要がある。
・価格シグナルは、エネルギー部門が気候の配慮を投資決定に考慮するために重要である。
・最貧層の人々のエネルギー需要が考慮され、適切に配慮されることを確保することが重要である。

10.ここで提示されたIEAとIRENAの分析は、エネルギー部門の移行が、大気汚染の減少、輸入国の化石燃料費の削減、家計のエネルギー消費の削減など、重要な共益をもたらす可能性があることを見出した。両者の分析はまた、全体的なエネルギー投資の必要性は大きいものの、低炭素エネルギー部門への移行に伴う漸進的なニーズは、世界の国内総生産(GDP)のわずかなシェアになることを示している。IEAによると、移行に伴う追加の投資ニーズは、2050年には世界のGDPの0.3%を超えないとする。1) IRENAによると、必要な追加投資は、2050年には世界のGDPの0.4%になり、雇用と経済成長に正の影響を与えるとする。
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1) OECDによる、IEAシナリオが広範なマクロ経済政策の中でどのように機能するかについての分析は、”今後の気候への投資、成長への投資”というタイトルで発表される予定である。

太陽光発電システムの自家消費

[出典:]
Eigenversorgung aus Solaranlagen
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Das Potenzial für Photovoltaik-Speicher-Systeme in Ein- und Zweifamilienhäusern, Landwirtschaft sowie im Lebensmittelhandel
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ANALYSE

https://www.agora-energiewende.de/fileadmin/Projekte/2016/Dezentralitaet/
Agora_Eigenversorgung_PV_web-02.pdf

[注:本資料(ほとんど独文の全52ページからなる)を以下では”原資料”と称している。
中に英文の” Summary “があり、それを記事として取り上げた。]

Summary

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一および二世帯住宅、農業と食料貿易における太陽光発電システムの可能性

ここ数年の間に、ドイツの上昇するEEG賦課金(ドイツの再生可能エネルギー源法(EEG)によって、消費者が支払った電力のkWh価格に課された手数料)に関する議論では、太陽光発電によるプロシューマーの自家消費の話題が一層顕著になっている。この議論は、太陽光発電システムと蓄電池の急激なコスト低下により盛んになったことで、自家消費の拡大の可能性を高めている。1)
本調査では、2035年までの自家消費の可能性のある展開シナリオを検討し、その技術が適している主な分野を中心に説明する。まず最初に、民間住宅部門、とくに一および二世帯の家庭に焦点を当てる。アパート建物はここでは考慮されない。2) それから、調査は、商取引、貿易、サービス分野において、その可能性について全面的に調査することなく、いくつかの適切なセグメントについて検討する。

民間世帯の潜在的な自家消費の調査は、2つのステップで行われる。最初に、この研究では、52GWのキャップが省略され、太陽光発電システムの補償制度が維持されていると仮定して、EEG計画内での自家消費(バッテリー貯蔵なし)を考慮している。次に、EEGのどの修正が将来行われるかにかかわらず、自家消費の最大可能性(バッテリー貯蔵の有無にかかわらず)を調べる。研究は、農業、小売/卸売り食品など自家消費にとくに適した商業、貿易およびサービス部門の2つのセグメントを調べることによって、その分析を終える。
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1) 自家消費とは、(パブリック)グリッドを介さずにその電力を消費し、同じ人物または法人によって運営されるローカルシステムによって発電される電力のことを指す。
2) アパート建物の場合、不動産の利用者が多くの場合その所有者ではないため、より複雑になる。

以下は、研究所見の要約である:

一般世帯

→ この研究で考慮されているすべてのケースで、一および二世帯の家庭用の太陽光および太陽光エネルギー貯蔵システムによる自家消費は、今後数年間で経済的に実現可能になるだろう。
投資が行われる時期によって、利益は4-16%(2020)、6-20%(2030)、7-24%(2035)になると予測されている。
[注1]原資料”Eigenversorgung aus Solaranlagen(太陽光発電システムの自家消費)”の図9,10参照。

→ 2035年までに4.6および38.6TWhに達する可能性のある住宅の自家消費。
低い値は、排他的に存在する今日の自家消費と将来のEEG規則に基づいて構築されるシステム。高い方の値には、エネルギー貯蔵と技術の完全な経済的可能性の実現が含まれる。エネルギー貯蔵のない小型の太陽光発電システムだけが設置されているシナリオでは、年間14.5TWhの経済的可能性がある。
[注2]原資料の図5,6,7参照。

→ 太陽光エネルギー貯蔵システムは、たとえ大型の電池の価格低下を考慮しても、貯蔵なしの太陽光エネルギーシステムよりも経済的な意味を持たない。3) 純粋に経済的な観点からすると、ほとんどの消費者は蓄電設備のないシステムを選ぶ可能性が高く、これにより自家消費率は約30%(これは太陽光発電エネルギー貯蔵システムよりも低い)となる。
[注3]原資料の図8参照。

→ しかし、家計が収益性だけに基づいて決定を下すかどうかは明確ではない。蓄電設備を持たないシステムと比較して、太陽光エネルギー貯蔵からの絶対余剰が大きいほど、住宅所有者は蓄電池ベースのシステムを購入する可能性がある。しかし、住宅所有者の、公益企業から独立したいという欲望も、彼らの意思決定に影響を及ぼす可能性があり、ここではそれを勘案することはできない。

→ これらの点を考慮して、一および二世帯の家庭で実現可能な電力量の合計を年間38.6TWhに設定することについては、多くのことが言及されている。しかしこれには、従来の電気用途だけでなく、新しい熱アプリケーション(ヒートポンプ、温水)のための自家消費が含まれ、自家消費は前者のグリッドからの電力需要を置き換えるだけである。従って、グリッドからのエネルギー消費削減の可能性の推定値は、年間20.3TWh程度である。

→ ドイツでは年間130TWhの家庭用電力4)を使用しているため、一および二世帯家庭が、ここで計算された可能性を実際に達成したと仮定した場合、太陽光発電の自家消費は、このグリッド電力の16%以下をカバーするに過ぎない。一および二世帯の家庭の電力使用については、太陽光発電の自家消費は、この電力網の約30%をカバーするだろう。5)
[注4]16%は年間電力量が20.8TWh、30%は39TWhとなる。
———————————
3) この研究では、太陽光発電システムのコストは時間とともに低下し続けると仮定している。
( 原資料 section 3.1 参照).
4) AG Energiebilanzen (2016) 参照。
5) Statistisches Bundesamt (2016), BDEW (2016) 参照。

商業、貿易およびサービス部門

→ 商業、貿易およびサービス部門では、電気使用量は年間およそ140TWhに達する。6) 農業、食品小売業、卸売業者などの調査対象部門については、自家消費の可能性はかなり高いと判断された。:年間約3.8TWh、またはセクター内の総電力需要のわずか3%未満が経済的に実現可能である。約30TWhと推定されるセグメントの農業および小売業/卸売業の総電力使用量を参照すると、経済的な太陽光発電による自家消費可能なのは約13%に及ぶだろう。7)
[注5]13%は3.9TWhとなる。

→ ヘルスケア、ホテル、中小企業、オフィスビルなどのセクターの他のセグメントでは、自家消費の可能性は農業や食品よりもかなり少ない。この主な理由は次のとおりである。:
1. これらのセグメントの利用可能な屋根面積は、電力需要に比べて小さい。
2. 太陽光発電システムの自家消費は、すでに利用可能な熱と電力の組み合わせシステムと競合しなければならない。
3. 事業所の多くはリースされているため、所有者と入居者は同一ではない。

→ 全体として本調査は、民間世帯および電力、グリッドからの電力使用を削減する商業、貿易およびサービス部門における選択されたセグメントの自家消費の最大可能性が、年間約24TWhに達することを見出した。この可能性が短期間で達成された場合、ドイツのEEG賦課金は1kWhあたり約0.5セント上昇するだろう。8) ネットワーク料金やCHP割増料金など、電気代に影響を与える他の地域のわずかな増加も起こる。データの欠如のために、この研究はこれらの増加の推定値を提供することができなかった。この研究の所見は、明確に定義されたセグメントの自家消費の可能性を反映している。これは、他の研究と直接比較する際に留意する必要がある。
—————————-
6) See AG Energiebilanzen (2016).
7) Fh-ISI et al. (2015), AG Energiebilanzen (2016)
8) 年360TWhの最終消費を想定するEEG追加料金と、その結果生じる年228.8億ユーロ(ÜNB 2015)のサーチャージを仮定すると、この調査で特定された自家消費の可能性が完全に枯渇した場合、EEG割増しは1kWh当たり約0.5ユーロ増加するだろう。
[( 22.88 billion euros / (360-24) TWh )-(22.88 billion euros / 360 TWh)
= 0.0045 euros/kWh].

提言

→ 今日の観点から、自家消費は、ドイツのEEG割増料金やネットワーク料金の資金調達基盤を急速に蝕む危険性はない。この調査で決定された可能性は比較的低く、太陽光発電エネルギー貯蔵システムの価格が急速に低下しても、市場の成長は緩やかなままであろう。

→ 他の民間世帯や商業、貿易、サービス、および産業分野での自家消費の可能性は、その場での規制の枠組みに左右される。これはとくに、賃貸物件上の太陽光発電システムを管理する規則に適用され、2017年のEEGの改正によって明示的に取り上げられている。9)

→ 過去数年間、政治家は自家消費についての混在したシグナルを送ってきた。一方では、EEGの2009バージョンで導入されたボーナス方式などの手段を使って、自家消費を明確に促進してきた。他方、彼らは2014年のEEG改訂と連邦財務省の2016年の自家消費電力に税金を課す提案のような追加費用を導入してきている。
場合によっては、政府と議会が合意に達することができなかった。その一例は、2015年に連邦経済エネルギー省が打ち出した、KfW銀行が管理する蓄電のための補助金をなくす提案で、後にBundestagが却下した。

→ 太陽光発電のビジネスモデルが確固たるものである場合、政治家はアパートなどの賃貸物件の自家消費と敷地内の太陽光発電の安定した枠組みを提供するために、迅速な行動を取らなければならない。このためには、課徴金や手数料(とくにEEG賦課金やネットワーク料金)の適切な構成が不可欠だ。将来の課徴金や手数料のシステムでは、システムの全体的なコストに私有財産の所有者とテナントを含める必要がある。;そして将来の法律の変更が、敷地内の太陽光発電への投資価値を遡及的に下げないようにする必要がある。
——————————
9) See §95 EEG 2017.

2016年におけるドイツのエネルギー・電力状況

出典:Agora Energiewend ホームページ > Topics > 06.01.2017
https://www.agora-energiewende.de/en/press/agoranews/news-detail/news/
coal-power-is-on-the-decline-yet-emissions-have-increased-2016
-was-a-year-of-mixed-success/News/detail/

シンクタンク・アゴラ社による評価は、
”石炭による電力は減少したが、ガス排出量は増加した – 2016年は半ば成功の年だった”と厳しい。すなわち、アゴラ・エネルギーヴェンデの年次評価では、”ドイツのグリーンエネルギーへの転換には数多くの肯定的な傾向があったにもかかわらず、変化のスピードは2020年の気候と効率の目標を達成するのに十分速いとは言えない”とある。

2016年次評価の重要な知見として挙げられたことを次に記す。
・ドイツのグリーンエネルギーへの転換は、2016年の進展と後退の両方によって特徴付けられた。一方で、電力システムは3年目になると、気候に更に友好的になった。
・天然ガス発電所は、石炭火力発電所から市場シェアを獲得した。
・原子力発電の段階的廃止は計画どおり継続した。
・持続可能エネルギーシステムはこれまで以上に多くの電力を供給した。
・電気使用量が減少した。
・ドイツ人のエネルギー転換への支持は、すでに高い水準から更に増加した。
・2016年末までに、ドイツの温室効果ガス総排出量が再び上昇したことが明らかになった。それにより2017年の国内電気価格は、初めて30セント/kWhを上回るだろう。
・エネルギー転換の進展が余りにも遅くて、2020年の気候と効率目標については相当な努力がなければ達成できない。

【 各論 】  <  図1~3は最下段 Ref.2から引用  >
1,持続可能エネルギーの拡大
この評価では、ドイツでは電力消費3kWh毎のうちの1kWhが持続可能エネルギー(正確には32.3%)で、それは0.8%昨年よりグリーンエネルギーの割合を上げていることが分かった。しかし、風力タービン生産能力の大幅増(5GW(ギガ・ワット))と太陽光発電設備増(1GW)があったにもかかわらず、天候のせいで2016年の風力量と太陽光量が平均量よりも少なかったために、前年比で4TW(テラ・ワット)の追加のグリーンエネルギーが生産された。
[注]「エネルギー転換を前進させるための教訓として」とアゴラ・エネルギーヴェンデのディレクターP.Graichenは次のように述べている。「持続可能エネルギーの拡大を定期的に発生する風況が悪い年に合わせることが、エネルギーシステムにおける気候保護へと繋ぐ唯一の方法なのだ。」

[ 図1,2016年の電源別シェア図]

[ 図2,1日で持続可能エネルギーが最大または最小に使われた例 ]

2,化石燃料火力発電の変化
天然ガス火力発電所は前年よりおよそ25%多い電力を発電した。これはドイツのエネルギー・ミックスの12.1%を占め、原子力発電所からの電力(13.1%)とほぼ同じくらい高い。
ガス火力発電所からと持続可能エネルギーからの電力が増加したので、褐炭により発電された電力のシェアは23.1%(-0.8%ポイント)に、そして無煙炭火力発電所で発電された電力のシェアは17%(-1.2%ポイント)に下がった。このことは、2014年に始った石炭火力発電の減少を続けることとなった。
[注]「もし2016年の石炭火力発電の減少が続く場合、最後の石炭発電所は2038年の初めに閉鎖される」とGraichen氏は観る。「このスケジュールは、アゴラ・エネルギーヴェンデが提案した石炭コンセンサス経路に対応している。ドイツが気候保全、構造転換、供給の安全に関する一般的な合意に達するならば、ドイツ連邦準備理事会(Bundestag)の選挙後すぐに、議論が始まらなければならない。」

3,気候変動への対応
石炭の使用量の減少は、ドイツの電力システムによって残された気候変動に反映されている。2016年の電力部門のCO2排出量は3億600万トンで、2015年比で1.6%減少した。対照的に、ドイツの温室効果ガス総排出量は、9億800万トンから0.9%増加して9億1600万トンになった。
真相はというと:電力部門のCO2排出量は3年連続で減少したが、気候保護の結果は産業部門、暖房部門、輸送部門のどこにも見られなかったことになる。
[注]「エネルギーの転換は電力分野だけではない。」とGraichen氏は言う。「産業、暖房、輸送分野は環境保全にも貢献しなければならない」

4,省エネルギーへの取り組み
2016年には電気使用量がわずかに減少して、合計592.7TWhとなり、前年度の2.4TWh減となった。1.8%の経済成長にもかかわらず、この成果を達成したことは特筆されることである。しかし、連邦政府が設定した2020年の効率目標を達成するには、2017年から毎年9TWhを節約する必要がある。
[注]Graichen氏は次のように述べている。「ドイツは電気で益々効率が高まっている。経済成長しても、電力使用は減少した。 しかし、もっと多くのことが行われなければならない。節約された各1kWhは、エネルギー転換をより受け入れ易くする。」

5,エネルギー転換への国民支持
ドイツ国民は、2016年にはさらに高い支持率で、グリーンエネルギーへの転換を目指している。年次調査では、93%のドイツ人市民がエネルギー転換が「重要」または「非常に重要」であると答えた。2015年以降3%上昇し、5年ぶりに最高水準となった。ドイツ国民はその執行についてもより良い見解を持っている。調査の回答者の47%がそれを「良い」または「非常に良い」と評価し、合計で前回より3%上昇した。

6,エネルギーコスト安
年次評価では、2016年が安いエネルギーの年であったことも分かった。 石炭、石油、天然ガスの価格は26.60ユーロ/MWhで、10年ぶりの低水準となった電気の卸売り市場価格と同様に、世界市場で下落した。同時に、ドイツ・デンマークの太陽光エネルギーオークションでは、手頃な価格の太陽光発電が可能となる価格5.38セント/kWh を引き出すことが示された。これは欧州でこれまでに支払われた最低価格である。

7,家計の電気料金問題
電力のスポット市場における天然ガスと暖房油の価格が下落した場合、環境賦課と課徴金は家計の電力コストを上昇させ、2017年には初めて30セント/キロワット時を超えることになる。「現行の徴収制度や課徴金制度が残っていると、電気料金は2023年以前に再び上昇すると考えられている。」とGraichen氏は言う。「その後、社会はエネルギー転換の収穫の恩恵を享受する。」
[注]「だから、」と彼は続ける。「ドイツのエネルギー政策は、エネルギータクシー、課徴金、賦課金などの制度を完全に改革すべきだ。 例えば、電気料金を下げ、課徴金や賦課金を石炭、暖房油、ディーゼル、ガソリン、天然ガスなどの気候に害を及ぼすエネルギー源に移すという選択肢がある。」

[ 図3,平均的家庭の電力料金推移(4人家族で年3500kWh使う例)]

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50ページの『アゴラ・エネルギーヴェンデレポート』は、公開されている多数のデータセットの分析に基づいている。報告書(ドイツ語)は以下の通りで、英語の要約を含んでいる。

Ref.1) pdf, ca. 1 MB
Die Energiewende im Stromsektor: Stand der Dinge 2016
English summary on page 6
https://www.agora-energiewende.de/fileadmin/Projekte/2017/
Jahresauswertung_2016/Agora_Jahresauswertung-2016_WEB.pdf
Ref.2) pdf, ca. 2 MB
The energy transition in the power sector: State of affairs 2016
A review of the major developments in Germany and an outlook for 2017
https://www.agora-energiewende.de/fileadmin/Projekte/2017/
Jahresauswertung_2016/Die_Energiewende_im_Stromsektor_2016_EN.pdf

カリフォルニア州が太陽光発電エネルギー普及率50%を達成に要するエネルギー貯蔵設備に 求められる条件

出典:National Renewable Energy Laboratory (NREL) Home Page
Popular Publications — Recent Releases
“Energy Storage Requirements for Achieving 50% Solar Photovoltaic Energy Penetration in California”
Paul Denholm and Robert Margolis,National Renewable Energy Laboratory
“http://www.nrel.gov/docs/fy16osti/66595.pdf
[Technical Report:NREL/TP-6A20-66595 August 2016
Prepared under Task No. TM13.1514]

== 論文要約 ==

新エネルギーの利用に関する特別措置法との組み合わせによる太陽光発電(PV)技術の急速なコスト低下が、カリフォルニア州の太陽光発電導入の増加を加速している。しかし、太陽資源の変動は、エネルギー貯蔵などのような技術を有効にしなければ、展開することができた太陽光発電量に関する不確実性を生じてしまう。
太陽光発電導入の重要な制限要因は、システムの需要と供給のバランスのために、システム運営者によって拒絶される必要のある太陽光発電エネルギーまたは削減である。
今日までカリフォルニア州の太陽光発電普及率の最も高い公開分析値は、年間のエネルギーベースで20%-約25%までの太陽光発電の普及レベルに焦点を当てている。本稿では、(再生可能な普及率66%を超える)カリフォルニアで以前の分析を超えて最大50%の太陽光発電の普及率を探索する。そして蓄電の潜在的な役割を検証する。

具体的には、許容可能なレベルまで太陽光発電の削減を維持する必要があるかもしれない蓄電量を調べる。許容可能な削減量は多くの要因に左右され、この分析では2030年の複合サイクル発電機の推定変動費用よりも追加太陽光発電の増分費用を抑える目標削減レベル、あるいはキロワット時(kWh)当たり約7セントを目指す。蓄電の役割を分析するには、グリッドの進化と様々な柔軟性オプションの展開が必要である。

蓄電を評価する前に、まず最初に増加した発電機の柔軟性、需要応答、輸出、および電気自動車の影響を考慮する。我々は、これらの手段は太陽光発電の潜在的な普及を大幅に増加させると見ている。:しかし、非常に柔軟な電源システムであっても、太陽光発電の50%普及を可能にするには追加の蓄電器が必要になる。

蓄電要件の背後にあるもう一つの重要な要素は、太陽光発電のコスト進化だ。2030年の目標年を想定すると、太陽光発電では3セント/ kWhという低コストレベルの平準化電気料金(LCOE)を達成するための妥当な方法が存在する。これにより、太陽光発電は非常に高い削減率を有し、7セント/kWhの「正味-LCOE」目標を達成することができる。正味のLCOEは、削減および貯蔵損失を考慮した後にグリッドが使用できるエネルギーのコストとして定義される。

我々は表ES-1に示すように、低、中、高の柔軟性のケースセットを確立する。最小発電レベルは、技術的・制度的特性に基づいて、熱および水力発電機からの要求発電量を表している。現在のシステム最小発電レベルの一つの推定値は約15ギガワット(GW)である。
柔軟性の向上は、(特に熱・電併給所で)長期契約を変更するだけでなく、熱発電機の毎日のサイクリングで経験を積むことによって達成されるであろう。
輸出能力の増加は、カリフォルニア周辺州と日々のリアルタイムでエネルギーを売買するための新しい仕組みを作り出すことに大きく依存する。
増加した需要対応のケースは、電力消費者の大部分にわたる使用時間またはリアルタイム価格設定の、より大きな採用に依存する。
最後に、カリフォルニア軽車両の25%を占める640万台の電気自動車の採用を検討し、これらの車両の大半が昼間の太陽光発電の使用を最大限にするために最適に充電されると想定している。

表ES-1.柔軟性シナリオの特徴

柔軟性レベル          低    中間   高
——————————————————————————————————
最小発電レベル (GW)     10     8.75    7.5

輸出容量 (GW)          2.5    5     10

需要応答有効性        0.4/22  2/10     4/21
(GW ピーク値/平均日常GWh)*

EVの普及率            5%   15%    25%
(軽車両の% )

最適に充電されたEVの率   33%   50%    75%

* これらの値は、最高の太陽光発電削減の月の間におけるピークと平均シフト可能な負荷 を表す

図ES-1は、表ES-1で定義された3つの柔軟性のシナリオについては、7セント/ kWhでの増分正味LCOEの目標を維持しながら、太陽光発電の50%の普及率を達成するために必要な蓄電量をまとめている。蓄電器は8時間の放電容量と80%の往復効率を有すると仮定されている。x軸は、太陽光発電の「基本」コスト、または縮小を仮定しないLCOEを表す。

図ES-1. 7セント/kWhの限界正味太陽光発電LCOEを達成するために必要なエネル      ギー貯蔵量

ernl_es-1modi

図ES-2に示すように、非常に低コストの太陽光発電(3セント/kWhで)と柔軟性の高い発電システムによって、エネルギー貯蔵の約19ギガワットは、7セント/kWhの限界正味の太陽光発電LCOEと共に、50%の太陽光発電の普及を可能にする、すなわちカリフォルニアのコンバインドサイクルガス発電装置の計画的変動費に匹敵する。

図ES-1は、グリッドの柔軟性を低くしたり太陽光発電コストを高めたりする場合の蓄電要件の大幅な増加を示している。柔軟性の高いケースをより詳細に検討することで、大量の太陽光発電をサポートするために必要な新しいエネルギー貯蔵容量の追加情報を得ることができる。

図ES-2は、7セント/kWh正味LCOEという太陽光発電の目標を達成するために必要とされるであろう(2020年までに構築されることが期待される蓄電を超えて)追加のストレージの量を示している。これには、40%および50%の太陽光発電普及率の両方に必要な蓄電容量が含まれている。
トップバーは、低コスト(3セント/kWh)太陽光発電という高い柔軟性のケースである。この非常に柔軟なシステムでは、蓄電器が2020年までに設置されていれば40%の太陽光発電普及を十分サポートできる。50%の太陽光発電を達成するには、2030年までに約15GWの追加蓄電容量が必要である。
また、より積極的な柔軟性の仮定の2つを変更する場合も検討する。2番目のバーは、電気自動車普及率を25%から5%に下げる(または、2030年までにカリフォルニアの130万台の電気自動車に達する)。
3つ目は、ベース太陽光発電のLCOEを5セント/kWhに増やすことでベースケースを変更する。これは、2020年までに予想される太陽光発電コストをわずかに下回るものに過ぎないと仮定している。
最後に、これらの柔軟性の低いシナリオを組み合わせたケースを示す。第4のバーに示されているように、カリフォルニアが電力網の運用の柔軟性を大幅に向上させることは可能だが、電気自動車の広範な導入や太陽光発電コストの大幅な削減を達成できない場合、太陽光発電普及率を40%にするには約10GWの、そして50%にするには約28GWの、新しい蓄電器が必要になる。

図ES-2. 7セント/kWh正味LCOEという太陽光発電の目標を達成するために必要とされ     る追加の蓄電容量

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非常に大量の太陽光発電をサポートするのに必要な蓄電器容量は、そのコストの低下によって最小コストのフレームワークに収まる可能性がある。2014年には、カリフォルニア州には約22GWの化石燃料採掘能力があり、そのうちの14GWは25年以上経っている。この能力が枯渇すると、コスト競争力のあるエネルギー貯蔵がその大部分を置き換えることができ、カリフォルニアが気候目標を達成する方向に進むにつれて太陽光発電の普及率を高めることができる。

「パリ気候変動協定の目標を達成する鍵は都市にある」と最新のIEA報告書が示唆

出典:IEA Press Releases, 1 June 2016

http://www.iea.org/newsroomandevents/pressreleases/2016/june/etp2016-cities-are
-in-the-frontline-for-cutting-carbon-emissions.html
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 『エネルギー技術展望2016年』は、都市の建物や輸送が排出するCO2を除去することは、パリ気候変動協定の目標に到達するための鍵であることを示しているが、遅々として進まないのは政府のコミットメントをテストしていることになる。
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 都市部が、費用対効果の高いグローバルなCO2排出量を3分の2まで削減する可能性を有していると強調した上で、都市は低CO2エネルギーセクターへの移行について先導的役割を果たす必要があると、国際エネルギー機関(IEA)が今日言及した。

 年次報告書『エネルギー技術展望2016』*(ETP2016)において、IEAは2015年12月パリの気候変動会議(COP21)で設定した目標に沿って、地球の気温上昇が2℃を超えないように制限する可能性がある長期的な技術経路を提供している。最も費用対効果の高いアプローチは、特に新興国や発展途上国における都市での低CO2オプションを展開することであるとする。

 「今日の都市は世界人口の約半分の人々にとってホームであるが、ほぼ世界的なエネルギー需要の3分の2とエネルギー部門からのCO2排出量の70%を担うので、COP21の約束を達成しようとする場合、彼らは主導的な役割を果たさなければならない」とIEAエグゼクティブディレクター Fatih Birol が、サンフランシスコのクリーンエネルギー閣僚会議でのレポート発表で語った。**
そして「都市は経済成長と革新の中心であるから、かれらは新しい技術のための理想的な
試験台 – より持続可能な交通システムからスマートグリッドへの – であって、
低CO2エネルギーセクターへの移行を先導する助けとなる。」

 そして、グローバルな利害関係者を連携させるにはアクションが必要である。2050年までの世界的な最終エネルギー需要の伸びの、少なくとも3分の2が新興国や発展途上国の都市から由来すると期待される。今から2050年の間に、新しい建物の大部分 – 世界の現在の建物ストックの40%に相当 – が新興国や発展途上国の都市に建設され、そしてグローバル都市旅客の増加の85%を占めるようになる。現在の政策の変更を行わないと、エネルギーサービスのためにその需要の増加は、これらの都市のエネルギー関連のCO2排出量を倍増する。しかし、これらの新興国における都市部の多くは、まだ完全に構築されていない。
 市民に同じレベルの快適さを有する近代的なエネルギーサービスへのアクセスを供しながら、いかに先進国の多くの都市の典型的なCO2集約型のインフラを回避するか、ETP2016はその方法を示している。従って国際協力は、世界中の都市がそれぞれの経験を引き立てることができることを確実にするために重要であり続ける。

 例えば、都市部の建物は彼らが消費する電力を自家発電する便利なスペースを提供する:2050年までに、屋上の太陽光発電設備は、技術的に都市の電力需要の3分の1を満たすことができる。そして、それらの建物はエネルギー効率の高い窓や家電製品などの最も効率的な技術を引き出す重要な需要の可能性を秘めている。ETP2016はまた、都市における現在の開発動向と比較して20兆米ドル投資ニーズを削減しながら、最高の電気自動車や公共交通機関が低CO2交通システムに至ることができる方法を詳しく説明する。

 ETP2016はCOP21の目標が達成可能であることを示しているが、そのクリーンエネルギーの進捗状況分析によると、全世界のクリーンエネルギー技術を導入する進歩が、まだ困ったことに必要とされる程度に到底達していないことが明らかになった。
 IEAの分析は、いくつかの技術に前向きな動きがなされていることが明らかになった:総再生可能エネルギーの現在導入されている容量は、太陽光発電と陸上での風力発電進歩に支えられ、過去最高の再生可能エネルギー容量の成長を遂げて2015年に150ギガワットを超え、世界的な発電の約23%を提供するに至っている。これは、2050年における再生可能エネルギーによる発電の3分の2を超えるという2℃目標に沿った心強い傾向となる。
 中国は最大の再生可能エネルギー市場であり、2015年の世界の新しい陸上風力発電量と太陽光発電容量の3分の1を占めている。 
 米国は、この一年間の容量の追加で40%の成長率を維持し、再生可能エネルギーのために世界第2位の市場としての地位を維持した。
 ETP2016は、中国と米国の寄与計が2℃の目標を満たすために目標に沿っていることが必要とされる故、2050年までの再生可能エネルギー容量の追加の3分の1が要求されると記している。

 並行して、たとえ2015年現在の世界の道路上の電気自動車が100万台を超えても、これでも相当画期的なことだが、2℃ゴールを達成するために2050年までに10億台を超える電気自動車を使いこなすという野心的な目的に比べると小さい。
 中国と米国は総売上高では市場のリーダーであったし、ノルウェーは販売されるほぼ4台に1台が電気自動車という点でマーケットシェアを世界的にリードしていた。だが、電気自動車の世界シェアは未だ小さくて、1%以上のマーケットシェアを有するのはわずか7カ国でしかない。

 レポートの調査結果を要約すると、Birol 博士は、「COP21は、気候変動に対するラジカルアクションの歴史的な転換点を示しており、かついくつかのクリーンエネルギー技術の最近の進歩は勇気づけられる成果である。しかし、全体的な進展はまだ遅すぎるし、低CO2移行の障害となっている低価格化石燃料を避けるべく加速しなければならない。今日のエネルギー市場の状況は、政府がなしたパリでの約束を、低CO2未来への確固たるアクションにどれだけ努力しなければならないかを示すリトマス試験となる。」と結論付けた。

* 『エネルギー技術展望2016』Energy Technology Perspectives 2016 報告書はIEA書店で販売している。
** 発表のスライドは下記サイトで閲覧しダウンロードもできる。(記事中の数字データに関連する図が掲載されている。)
http://www.iea.org/newsroomandevents/speeches/160601_ETP2016_CEM7.pdf

サンフランシスコ市の100%再生可能エネルギー化計画

出典:San Francisco Mayor’s Renewable Energy Task Force Recommendations Report    September 2012
http://sfenvironment.org/download/san-francisco-mayors-renewable-energy-task-force-recommendations-report

サンフランシスコ(SF)市は、2010年時点で電力の41%が再生可能エネルギー由来のもので、これを2020年までには100%にすると宣言した。その計画の概要を以下に示している。
1,2010年時点の電力供給ミクス
市の電力需用者は、電力を表1に示すように、3種の方法で取得している。
・市が窓口となって地元電力会社Pacific Gas and Electric社(PG&E)から購入(電力量は
最も多い)
・市が運営するSan Francisco Public Utilities Commission’s(SFPUC)が供給
・Direct Access

再生可能エネルギーによる電力量比率は40%で、その中で大規模水力が28%を占めている。その他の再生可能エネルギーはバイオ・地熱・風力・小水力の4種で、計12%程度となっている。

<表1,サンフランシスコ市の2010年電力供給ミクス>
hyo1SFene-c

2,100%再生可能エネルギー化の見込み
少なくとも2010年の電力需要量を、全て再生可能エネルギーから満たそうとすると、表2にあるように、10年間で新たに3TWh(3,000GWh)/yr程の再生可能エネルギー由来の電力量を捻出しなければならない。
市内資源による1.7TWh(1,700GWh)/yr程は達成可能の見込みはあるであろうが、残りは洋上資源であるところの波力と風力が問題となる。とくに波力については挑戦的課題と思われる。

<表2: 全再生可能エネルギー発電の可能性>

hyo2SF100%pj

再生可能エネルギーのシェアを倍増させることにより、世界のGDPは1.3兆米ドルまで増加する

IRENA(The International Renewable Energy Agency)による新たな分析によれば、2030年までに世界のエネルギーミックスにおいて再生可能エネルギーが36%のシェアを達成すれば、世界の国内総生産(GDP)を1.1%程、およそ1.3兆米ドル増加させるとする。本日IRENAの第六総会で発表された「再生可能エネルギーの利点:経済を計る」”Renewable Energy Benefits: Measuring the Economics”*が、2030年までに世界のエネルギーミックスの中で再生可能エネルギーを劇的にスケールアップすることにより、世界中のGDP、社会福祉および雇用を増加させるであろう、と指摘している。

この新しいレポートは、再生可能エネルギーの展開によるマクロ経済的影響の最初の世界的な評価を提供する。ことに、再生可能エネルギーの世界シェアを2030年までに2010年レベルから倍増するシナリオの下で達成することによるメリットを概括している。

2030年の世界のGDPは、最大1.3兆米ドル増加することになることを見出した上に、更にレポートはチリ、南アフリカ、スイスの現組み合わせ経済が、国特有の影響を及ぼすことを分析している。
日本は最大のGDP増加(2.3%)を見ることになるが、オーストラリア、ブラジル、ドイツ、メキシコ、南アフリカ、韓国もそれぞれ1%以上の成長可能性があるとする。

報告書によると、人類の福祉の向上が、十分に社会的および環境上の利点範囲のおかげで、GDPの利益を超えて行くとする。再生可能エネルギー展開の福祉への影響は、世界の福祉が3.7%までも増加することになり、GDPへの影響よりも3〜4倍大きいと推定される。
再生可能エネルギー部門の世界における雇用はまた、2030年までに24百万以上、今日の9.2百万から増加するであろう。

世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーのシェア拡大への移行は、より多くの石炭の世界的な輸入を半減し、石油と天然ガスの輸入が減少するように、日本、インド、韓国および欧州連合(EU)のような大規模な輸入国は恩恵を受けて、貿易パターンのシフトを引き起こす。化石燃料輸出国も、多様化した経済の恩恵を受けることになる。

* full report
http://www.irena.org/menu/index.aspx?mnu=Subcat&PriMenuID=36&CatID=141&SubcatID=690
“BNEF_PR_2016-01-14_Annual_Investment-JP_Upload” pdf file

[出典]IRENAニュースルーム
 ”Increasing World’s Share of Renewable Energy Would Boost Global GDP up to $1.3 Trillion”
  http://irenanewsroom.org/2016/01/16/increasing-worlds-share-of-renewable-energy-would-boost-global-gdp-up-to-1-3-trillion/