原理

エネルギー関連技術項目について、原理を始めとしてその科学技術の概要を解説

<解説項目>
太陽電池
水力発電
風力発電
地熱発電
バイオエネルギー

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【太陽電池】
太陽光を受けた半導体が電力をつくりだす。
○発電原理
太陽電池は、薄いn型とp型の半導体を積み重ねた構造をしている。
n型半導体は動きの活発な伝導電子の多い性質を有し、p型半導体は電子が足りない場所(=正孔)を有する。この2つを接合すると、n型半導体からp型半導体へと伝導電子が逃げ出して、正孔と打ち消し合う。
電子が逃げ出したn型半導体はプラスに帯電し、p型半導体はマイナスに帯電する。接合部分には電界(内部電界)が生じ、それなりに安定状態になる。
そこで接合部分の半導体に光が当たると、新たに伝導電子と正孔が”叩き出され”励起される。伝導電子はn型半導体へ、正孔はp型半導体へと移動し、電子を外部へ押し出す力(起電力)が生まれる。こうして発電がなされる。

○太陽電池の種類
原理で分かるように、太陽電池は半導体です。従って基本的には半導体製造方法の延長にある。特徴としては、大面積である、光吸収性が必要なため薄膜、寿命は30年程度。
・単結晶シリコン太陽電池
最も古くからある太陽電池。15cm角程度の結晶シリコン・インゴットをつくり、薄くスライスする。高価だが高性能で、特に変換効率が求められる用途に使われる。
・多結晶シリコン太陽電池
現在最も広く使われている太陽電池。細かいシリコン結晶が集まった”多結晶シリコン”を用いる。単結晶シリコンよりも省エネルギーな方法で製造でき、変換効率も良い。製造方法や構造も多様。
・薄膜シリコン太陽電池
結晶シリコンの100分の1程度のごく薄いシリコン膜を使う。アモルファスシリコン、または微結晶シリコンを用いる。変換効率では劣るが、大量量産しやすく、軽量でフレキシブルなモジュールも造ることができるなどの長所がある。
・CIGS系太陽電池
Cu,In,Ga,Seから成る半導体。省資源でなおかつ多結晶シリコンに近い性能が出せる。量産性やデザイン性が良く、価格を下げる余地も大きく、今後の普及が期待されている。

○商用太陽電池の性能(2015年時点)
 参考例としてSF社製ソーラーパネル(モジュール)について示す。

  製造方式    CIS薄膜系ガラス基板太陽電池
  寸法       1,235X641X35 mm
  重量       12.4kg
  最大出力     85W
  ” ” 動作電圧 42.5V
  ” ” ” 電流  2.22A

  価格(参考値)   5万2千円程

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【水力発電】
水の流れを水車でとらえ、電気に変換する仕組みを水力発電と称する。
○日本の水力発電の歩み
1960年頃までは総電力量の過半を通常水力発電*1が占めており、残りを火力が担っていた。
1960年代前半に原子力発電開始に先んじて揚水発電*2が開始され、以降原子力と併用する形で揚水発電が急増し、逆に通常水力は衰退した。
2008年時点での累計出力は、通常水力が約21GWで、揚水が約25GWとなっている。

2011年の大震災以降、自然エネルギー利用の機運が高まり、水力発電が注目されている。とくに分散型のエネルギー資源活用の観点から、中小水力発電が盛んに検討されている。
*1)水の高低差を利用する順流のみによる発電方式。
*2)ポンプで水をくみ上げ貯留させ、必要時に通常方式で発電させる。

[以下の項は、とくに断らないかぎり、”中部電力|水力発電について”HP を参照している。
http://www.chuden.co.jp/energy/ene_energy/water/index.html]

○水力発電の特徴
・電力需要への対応が容易
水力発電は、電力需要の変動に対応して柔軟に電力供給ができる特徴がある。例えば、夏の昼間などの電力需要ピーク時の供給力として利用される。
・エネルギー変換効率が高い
水の位置エネルギーを利用するだけで電力が得られるので、変換効率は群を抜いて高い。

水力       80%
LNG複合      55%
火力蒸気タービン 43%
ガスタービン   35%
原子力      33%
風力       25%
太陽光      10%

・CO2の排出量が極めて少ない

○水力発電の規模別区分
出力1万kW~3万kW以下を「中小水力発電」と呼ぶことが多く、また出力1千kW以下の
比較的小規模な発電設備を総称して「小水力発電」と呼ぶこともある。

区分 発電出力(kW)
————————————–
大水力   10万 以上
中水力   1万 ~ 10万
小水力   1千 ~ 1万
ミニ水力   1百 ~ 1千
マイクロ水力 1百以下

* 環境省 小水力発電情報サイト
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/shg/page01.html

○発電方式による分け方
・流れ込み式(自流式):河川を流れる水を貯めることなく、そのまま発電に使用する方式。この方式の発電所はほとんどが出力の小さい発電所である。
・調整池式:河川の流れをせき止めた規模の小さいダムに、夜間や週末の電力消費の少ない時に発電を控えて、河川水を貯め込み、消費量の増加に合わせて水量を調整しながら発電する。この方式の発電所は1日または数日間という短期間の水量を調整する。
・貯水池式:調整池式より規模の大きいダムに、水量が豊富で電力の消費量が比較的少ない春・秋などに河川水を貯め込み、電力が多く消費される夏・冬にこれを発電する。この方式の発電所は年間を通じての水量を調節する。
・揚水式:発電所をはさんで河川の上部と下部にダムをつくって貯水し、昼間、電力の消費量が多い時に上部ダムの水を下部ダムに落として発電し、電力の消費量が少ない夜間に余裕のできた火力・原子力発電所の電力を利用して、下部ダムから上部ダムまで水を汲み上げ、再び昼間の発電に備える。

○水車の種類
水車は水力発電所の心臓部と言えるもので、高い所から落下してくる水や、勢いよく流れ込んでいる水の力を受けて回転する。水のエネルギーを、回転する機械エネルギーに変え、発電する仕組みとなっている。以下に代表的な水車を示すが、水の落差・速度・流量により最適な水車を選定しなければならない。
・フランシス水車:水の圧力と速度をランナーと呼ばれる羽根車に作用させる構造の水車で、広い範囲(10~300m程度)の落差で使用でき、日本の水力発電所の約7割がこの水車である。
・ペルトン水車:水の速度のみを利用する水車で、落差の大きい発電所に用いられる。ノズルから強い勢いで吹き出す水を、おわん形の羽根に吹きあてて回転させる。
・プロペラ水車:理論的にはフランシス水車と同じで、水の圧力と速度を利用する。落差が比較的低く、しかも流量が多い発電所で採用される。またプロペラ水車には、羽根を固定したものと動かすことができるものとがあり、後者を一般に「カプラン水車」と呼んでいる。
・クロスフロー水車:フランシス水車と同じで、水の圧力と速度を利用する。クロスフローとは、水がランナーを交差し流れることを意味している。主に1千kW以下の小水力発電所で採用される。

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【風力発電】
風力を利用して発電するので、風況条件の良い場所に設置する必要がある。

○発電原理
 風のエネルギーを風車でとらえ、発電装置を回して電気エネルギーに変換する仕組み。
従って装置としては、基本的に風車と発電装置の2種からなる。
 発電機1基当たりの発電容量によって風車の形態*1は分けられ、MW級の大容量だと細長い3枚羽根からなる”揚力型水平軸式風車”が、中小容量だとサボニウス型等”抗力型垂直軸式風車”が用いられる。
 *1)三菱重工|風力講座 HP 
    https://www.mhi.co.jp/products/expand/wind_kouza_0101.html

○風車の型式による特徴

  風車の型式     揚力型水平軸式     抗力型垂直軸式
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 翼形状       長く複雑な曲線断面構造  短く単純な断面構造
 最大翼長      60m                3m
 風車の効率    40-45%              20-40%
 平均発電容量   2-7MW               200-750W
 風向きへの対応  検知して方向制御要     全方位
 必要風速      6-20m/s             2-15m/s
 発電機の位置   風車の軸部          地上
 保守点検      手間かかる          とくに問題ない 
 環境適応      騒音、鳥衝突、落雷対策要  同上
 1基当たり投資額  高額              中小額         

○設置場所による区分
 風況および環境条件からして、①陸上山間部または海浜部、②陸に近い海上部、③洋上部、の3区分が挙げられる。
①陸上山間部または海浜部
 人里離れた場所なら大規模な揚力型水平軸式発電機を設置することは可能だが、設置とメンテナンスに難点がある。
 抗力型垂直軸式の中小風力発電機なら人里でも設置可能となるが、規模は小さくなる。コストパーフォマンスに優れた中小型発電機の開発が望まれる*2。
 *2)一例を挙げると 株式会社グローバルエナジー HP
   http://www.globalenergy.jp/
②陸に近い海上部
 遠浅の浜辺に揚力型水平軸式発電機を多数設置する方式で、欧米では盛んに行われている。日本では漁業や景観の問題から場所は限られる。
③洋上部
 陸から離れた沖合の場所に大型の揚力型水平軸式発電機を多数設置する方式で、現在開発が行われている段階*3。多くの課題があり、予断を許さない。
 *3)福島洋上風力コンソーシアムHP
   http://www.fukushima-forward.jp/

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【地熱発電】
○原理
 火山のマグマにより熱せられた岩盤に貯留された熱水を取り出して、地上において
熱水・蒸気によりタービンを回して発電する(フラッシュ方式)。
 これに対し温泉発電と称される代替方式が注目されている。それは熱水温度が低くても
媒体を熱してその蒸気を利用してタービンを回すことにより発電する方式で、正式には
バイナリー発電とされる。媒体としてはアンモニアやペンタンが用いられる。
○発電規模
 温泉発電の規模は方式からして小規模となる。2014年時点で最大は、九電・八丁原発電所の2MW/基。
 フラッシュ方式では、同上発電所の55MW/基が最大とされる。
 * JOGMEC地熱資源情報サイト
    http://geothermal.jogmec.go.jp/geothermal/japan.html

 世界的には、ニュージーランドの北島、タウポ火山帯に位置するナ・アワ・プルア地熱発電所において、富士電機社が140MW/基のフラッシュ方式設備を納入している例がある*2。
 バイナリー方式では米カリフォルニア州のネバダ地熱発電社の50MW他がある*3ようだが、1基の能力であるかどうかは不明。
 *2 富士電機ホールディングス社レリース
    http://www.fujielectric.co.jp/about/news/10051702/
 *3 NEDO再生可能エネルギー技術白書(第2版)第7章・表7-11
    http://www.nedo.go.jp/content/100544822.pdf

○フラッシュ方式地熱発電の課題
<プラントに関して>
・地熱流体(蒸気/熱水)は、高い濃度の不純物や不凝結ガスを含むことが多い。→
 [腐食損傷、スケール析出により配管、タービンが閉塞、損傷]
 [耐腐食特殊加工配管、頻繁なメンテナンスと機器の短寿命化等によるコスト増]
 [タービン前段階で処理するため処理液の大量注入要で、地熱流体の大流量化が困難に]
<環境負荷に関して>
・地熱流体中の硫化水素の環境放出(大気)
・環境より温度の高い還元水の地中への大量放出(動植物系)
・薬剤(インヒビター)混在の還元水の地中への大量放出(水系、土壌)
・水銀、ヒ素、ボロン、塩化ナトリウム等を含有
<導入に関して>
・経済性・開発リスク→
 [地下深部の調査、環境アセスメント等から開発のリードタイムが長い(15~20年)]
 [運転開始後に補充井の掘削等が必要]
 [調査・開発段階で多数の坑井掘削が必要]
・地元温泉事業者等との調整→
 [温泉への影響を懸念する温泉事業者等との調整により開発が停滞]
 [環境負荷に対する環境保護団体の反対行動]
・自然公園法等の関係法令の諸規制→
 [多くの有望地熱開発地域が自然公園地域内に賦存]

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【バイオエネルギー】
バイオエネルギーとは、バイオマスを基にしたエネルギー資源のこと。
バイオマスとは、生物資源(bio)の量(mass)を表す言葉で、「再生可能な、生物由来の
有機性資源で化石燃料を除いたもの」と定義される。
 [注]本稿は、主として下記資料を参考にしている。
   Sustainable Japanサイト
   夫馬賢治氏による「バイオ燃料の種類・実用性・課題」記事(2014/08/09)
   http://sustainablejapan.jp/2014/08/09/biofuel/11532

○カーボンニュートラル
 ライフサイクルの中で、二酸化炭素の排出と吸収がプラスマイナスゼロのことを言う。
例えば、植物の成長過程における光合成による二酸化炭素の吸収量と、植物の焼却による二酸化炭素の排出量が相殺され、実際に大気中の二酸化炭素の増減に影響を与えないことが考えられる。
 バイオマスエネルギーの利用はカーボン・ニュートラルだと考えれ、二酸化炭素の発生と固定を平衡し、地球上の二酸化炭素を一定量に保つことができる。
  [注]EICネット[環境用語集] より
    http://www.eic.or.jp/ecoterm/

○バイオエネルギーの種類
 バイオエネルギーは大別すると、次の3種になる。
 ・木材など植物資源を直接燃やして得られる「熱」を利用する
 ・「燃料用」に運搬や貯蔵に便利な状態に加工されたもの=「バイオ燃料」
     自動車や航空機の混焼燃料として
 ・易可燃性のバイオマスを使って発電する「バイオ発電」
○2011年に世界で消費されたバイオエネルギー量と割合(”IEA統計”から)
  全バイオエネルギー量:48.5EJ
  内訳:熱 92%、燃料 5%、発電 3%
   (注:2005年の世界が消費したエネルギー総量は420EJ)

○バイオ燃料の製造法
 バイオエタノール、バイオディーゼル、バイオジェット燃料、バイオガスの4分野がある。
・バイオエタノール:ガソリン代替として利用される。
  実用化されているのは、(1)糖質原料(サトウキビ、糖蜜、甜菜)、(2)でんぶん質原料(とうもろこし、麦、もろこし、じゃがいも、さつまいも)の2種で、セルロース系原料(稲藁、籾殻、スイッチグラス、廃材木など)は開発段階にある。
  製造法としては発酵技術が使われる。
・バイオディーゼル:ディーゼルエンジン用の燃料として利用される。
  原料は油脂で、エステル交換反応によりグリセリンを除去し精製分離することにより製造される。
  原料によく利用される油脂としては、欧州では菜種油、中国ではオウレンボク等、北米及び中南米では大豆油、東南アジアではアブラヤシやココヤシ、ナンヨウアブラギリなどがある。
・バイオジェット燃料:航空機用ジェット燃料の代替を狙って開発されつつある。
  製造法はバイオディーゼルとほぼ同様であるが、実用化可能性ある原料としては、ナンヨウアブラギリやアマナズナなどの植物、藻類、牛脂がある。日本のユーグレナ社が開発しているミドリムシが最近注目されている。
・バイオガス:生物の排泄物、有機質肥料、生分解性物質、汚泥、汚水、ゴミなどの廃棄物を原料として、嫌気性微生物の働きによってメタン発酵することで製造される。
 このガスは主に60%前後のメタンと、40%前後の二酸化炭素から成り、他にごく微量の硫化水素、水素、窒素などが含まれている。
○バイオ発電
 バイオマスを燃焼させてタービンを回すことにより発電ができる。使われるバイオマスとしては、次の2種がある。
・廃棄物:間伐材、廃材、有機性のゴミ
・バイオガス
 コスト的に厳しいので、地域事情により選択されることになる。

 日本において2013年度にバイオマス燃料によって発電された電力量は約19億kWhで、一般家庭約52万3千世帯分の年間使用量相当となった。
○課題
 バイオエネルギーの課題は原料につきる。開発初期段階は食材を原料としていたが、現在では食料問題に影響与えるのは好ましくないとされている。木材については、砂漠化や地球温暖化問題の観点からやはり好ましくない。ただし人間による管理も必要で、大規模火災などが起こらないようにしなければならない。
 地域の事情との兼ね合いで決められることとなる。

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